爆笑ビデオから悲惨なニュース動画まで 2000年代後半のYouTubeでバズった動画13選

YouTube黎明期のミームほか

「ぶどうレディ」(2006年)



ジョージア州のシャトー・エラン・ワイナリーはただ単に、地元Fox系列のTV局でちょっとしたお遊びのコンテストをしたかっただけ。レポーターのメリッサ・サンダー氏とワイナリーの従業員が素早くブドウを踏み潰し、どちらがより多く汁を絞れたかを競うつもりだった。だがサンダー氏は最後の数歩で少々気がゆるみ、荷台から足を踏み外して地面へと落下した。『America’s Funniest Home Videos(原題)』でよく見るやっちゃった映像が、『ファミリー・ガイ』でパロディされるような騒動に発展した理由は、痛みに耐えかねた彼女のうめき声――それと、撮影班がカットするまでにずいぶん時間がかかったという事実。後から振り返ってみれば、息ができないと彼女が喚いたとき、オロオロする以外にも対応のしようがあったのではないか――とりわけ彼女が肋骨を複数箇所骨折し、長期入院する羽目になったことを知った今では。


「チャーリーが指を噛んだ」(2007年)



ただひたすらカワイイ、という動画もある。「チャーリーが指を噛んだ」はそんな動画のひとつだ。イギリスの幼い兄弟が自宅のソファでお寛ぎ中、言葉が達者な兄が、乳歯が生えたばかりの弟が指を噛もうとする様子を実況する。この動画は8億回以上も閲覧され、長い間YouTubeの最多閲覧数および人気No.1を誇った。


「劇的瞬間」(2007年)



GIFアニメは80年代後半からすでに出回っていたが、2000年代にはブログやソーシャルメディアのおかげで、ネット上のコミュニケーション手段としての地位を確立した。“リアクションGIF”自体は一種のアートとなった。遡ること2007年、プレーリードッグが劇画風に振り返る画像が「ホラービーバー」という長尺ビデオから抜き出されると、YouTubeがトレンドを後押しした。これまたドラマチックな音楽が付け加えられ、YouTube初期のミームの誕生。様々なユーザーが(10年後に登場する6秒動画共有アプリVineに先駆けて)ショート映像にDr.イーヴィルの小指や片眼鏡を加えていった。


「ブリトニーをそっとしてあげて」(2007年)



熱烈なファンの動画のないインターネット空間など想像できるだろうか? クリス・クロッカーがこれを敢行したのは2007年、ブリトニー・スピアーズの栄光からの転落に対するメディアの攻撃がピークを迎えていた時期だった。毛布の下から、いかにも2007年らしい黒のアイライナーで、クロッカーは『ブリトニーをそっとしてあげて パート1』をMySpaceページに投稿し、スターを擁護した。パート2がYouTubeに投稿されると、涙ながらに熱く訴える映像は多くの人々に模倣され、人気を博した。ブリトニー派は、悩めるスターに対するメディアの対応を嘆くクロッカーに共感したが、外部の人間にとっては、なぜ彼がここまで心乱されるのかさっぱり謎だった。この手の感動的なビデオブログはいまもYouTubeのオハコ。数々のスターが自らの人気チャンネルに投稿した「謝罪ビデオブログ」が広まったことで、再び脚光を集めている。

Translated by Akiko Kato

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