「地球平面論」を唱えた男、自作ロケットの墜落事故で死亡

『Homemade Astronaut』出演予定だった地球平面論者、マッド・マイク・ヒューズ氏が2月22日、自作の蒸気ロケットが離陸直後に墜落して死亡。(Photo by Paul Buck/EPA-EFE/Shutterstock)

「地球平面論」を唱えたアマチュアのエンジニア、マッド・マイク・ヒューズ氏が現地時間2月22日、米カリフォルニア州バーストー郊外で亡くなった。打ち上げ実験中、自作の蒸気ロケットが離陸直後に墜落したという。

ヒューズ氏は、サイエンス・チャンネルで放映予定だった新番組『Homemade Astronauts(原題)』の出演者の一人だった。「本日、“マッド・マイク”ことマイケル・ヒューズ氏が、自作のロケット打ち上げ中に亡くなりました」と、サイエンス・チャンネルも発表した。「つらい思いをされているご遺族やご友人の皆様にお悔やみを申し上げるとともに、故人のご冥福をお祈りいたします。今回の打ち上げは同氏の長年の夢であり、サイエンス・チャンネルは同氏の挑戦を記録するべく同席しておりました」

ジャスティン・チャプマン記者が撮影した事件の映像には、蒸気ロケットの発射直後にすぐにパラシュートが誤って開き、悲運の事故が起きる様子が収められていた。ロケットはそのまま上空に昇り続けたが、パラシュートがないため落下速度を落とすことができず、そのまま砂漠に墜落。64歳のヒューズ氏が犠牲になった。



Space.comの記事によると、ヒューズ氏の自己資金で行われたこの実験では、ロケットは高度5000フィートまで上がる予定だった。2018年3月にも同様の実験が行われたが、この時ヒューズ氏は高度1900フィートまで到達した後、パラシュートで帰還した。BBCは、冒険家のヒューズ氏が2002年にリムジンジャンプでギネスブック世界最長記録を達成した旨もあわせて報じた。昼間はリムジン運転手として勤務していたヒューズ氏は、ストレッチリムジンLincoln Town Carで103フィートの跳躍を披露した。

だがヒューズ氏は、地球平面論コミュニティの間でも有名人だった。地球はフリスビーのような形をしていると信じ、自作の蒸気ロケットで自説を証明しようとしていた。

「私は地球中心平面説を信じています。この点に関しては、他人の意見に耳を貸すつもりはありません。今回は自らロケットを作って、我々の住む世界がどんな形状をしているのか自分の目で確かめたいと思います」と、ドキュメンタリー『Rocketman: Mad Mike’s Mission to Prove the Earth Is Flat(原題)』の予告編の中でヒューズ氏は語っている。



地球平面協会は声明を発表し、こう述べた。「本日、地球平面活動は親しい友人を失いました。マイケル・ヒューズ氏――発明家で、チャレンジャーで、自称マッドマンだった彼は、出演を予定していたサイエンス・チャンネルの番組の一環で、自ら手がけた蒸気ロケットに乗り、上空へ最後の打ち上げに挑みましたが、悲運な事故で命を落としました」

さらに声明はこう続く。「リムジンジャンプでギネスブック世界最長記録を樹立したマイクは、論争や危険にひるんだことは一度もありませんでした。それは彼の血に脈々と流れていました。辛い思いをされているご遺族にお悔やみを申し上げます。クレイジーなこの世界で、マイクが探し求めていた答えを見つけることができたのがせめてもの救いです。ご冥福を、マイケル。誉れ高き冒険野郎へ」

ヒューズ氏は、地球平面論者を題材にしたYouTubeのパロディ・ドキュメンタリーでも大々的に取り上げられた――2018年、デンバーの地球平面国際会議で撮影された――が、のちに作品をめぐって、YouTubeのパーソナリティのローガン・ポール氏を訴えている。

Translated by Akiko Kato

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