バンドと「地元」を繋ぐ物語 FAITHが切り開く新時代

「同じ信州人として応援している」

GRAMHOUSEを出たあとは、メンバーおすすめの撮影スポットに連れて行ってもらった。伊那スキーリゾート、通称「イナリ」だ。


Photo by Kazushi Toyota


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そこへの道中、様々な話をメンバーから聞いた。高校時代、レイとルカは学校帰りにわざと知らない道を通って、スケボーができそうなスポットを探していたこと、女子チームは電車と徒歩で何分もかけてアピタ(地元のショッピングモール)まで遊びに行ったり、リサイクルショップのセカンドストリートに入り浸ってたこと……東京で聞いたらなんてことない話も、ここ、伊那で聞くとやたらとリアリティがある。そんな話を彼らはつい昨日のことのようにイキイキと話すのだ。


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撮影が押してしまい、本日のリリースイベント会場である平安堂伊那店に着いたのはスタート1時間前。しかし、勝手知ったる場所ということもあり、メンバーに焦りはなく、テキパキとセッティングを進める。平安堂は長野県内に展開している、書籍、CD、DVD、文具・雑貨など取り扱う店舗で、かなり広い作りになっている。店内ではFAITHの最新作『Capture it』ももちろん大展開。そのそばにはメンバー宛のメッセージを綴るためのノートが置いてあって、小さな子供からお年寄りまで、様々な層の人々が次々とメッセージを書き込んでいく。そのノートを少しめくってみたところ、「ロックのことは何も分からぬ中高年」と名乗る人物が、「同じ信州人として応援している」と達筆な文字で思いを伝えていた。伊那市の住民が町をあげてFAITHを応援していることがよくわかった瞬間だった。


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即売スペースに陳列されたCDは飛ぶように売れていき、まだリハ中にもかかわらず、どんどん人がやってくる。最終的には300人以上の人が集まっていたのではないだろうか。東京などの大都市とは違って、この店は誰もが徒歩で簡単に来られるような場所ではない。そんな場所に300人も集めるというのがどれだけすごいことか。予想以上の集客に店側も嬉しい悲鳴をあげ、何度も注意喚起のアナウンスをし、最終的には本来は使わないはずだったステージ裏に位置する2階エリアを開放することになった。


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ミニライブは定刻どおりにスタート。1曲目は新作のオープニングナンバー「Party All Night」。軽やかなコーラスワークと、Akariの跳ねるような歌声が実にFAITHらしい1曲。歌い終わるとAkariは「ヤバい! 最高です! さすが地元!」と喜びを隠さない。ヤジマも「めちゃくちゃうれしいです!」と顔を上気させている。そのあとも、テイラー・スウィフト「Mine」のカバーや、再び最新作から「By My Side」と披露していく。ライブハウスではないが、この幅広い客層を満足させるにはこの平安堂はベストだったのかもしれない。熱いというよりも、5人を見守る温かい雰囲気に涙が出そうになる。


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