キャンディス・スプリングス×山崎まさよし対談 国境を越えたコラボはなぜ成功した?

キャンディス・スプリングスと山崎まさよし(Courtesy of ユニバーサル ミュージック)

ブルーノート・レコードの歌姫ことキャンディス・スプリングスと、日本を代表するシンガー・ソングライターの山崎まさよし。国境を越えた相思相愛のコラボレーションは、どのように実現したのか?

キャンディスが3月27日に発表するトリビュート・アルバム『私をつくる歌 ~ザ・ウィメン・フー・レイズド・ミー』の一環で実現した今回のコラボ。1月中旬に都内のスタジオでレコーディングが実施され、そこで録音されたキャロル・キング「You’ve Got A Friend」のカバーが先日より配信されている。2人が顔を合わせるのは今回が初めてだったが、キャンディスが用意したアレンジ・アイディアを一緒に膨らませると、すぐにセッションがスタート。それぞれのボーカルに加えて、キャンディスがピアノ、山崎まさよしがギターを担当し、わずか数回のテイクで完成に至ったという。この共演のいきさつやお互いへのシンパシーについて、二人に対談形式で語ってもらった。


―まずは共演の経緯を教えてください。

キャンディス:もともと山崎さんのことは知ってたんです。今回、「日本人アーティストとのコラボはどう?」と話をいただいて、山崎さんの曲を聴き返したらやっぱり素晴らしかった。この機会にぜひご一緒できたらと、私のほうから提案しました。

―そのオファーを聞いて、山崎さんはどう思いました?

山崎:声をかけていただけるのは、もちろん光栄ですよね。彼女の音を聴かせてもらって、ピアノとボーカルがすごくエモーショナルだったので、ぜひやりますと。

キャンディス:嬉しいです。私も山崎さんの音楽について同じように感じていました。最初にそういう気持ちを共有できたのもよかったですね。


『私をつくる歌 ~ザ・ウィメン・フー・レイズド・ミー』に収録される「ソリチュード feat. クリス・ポッター」(原曲はカーメン・マクレエ)

―それで、実際にお会いしてみてどうでしたか?

山崎:やっぱり「Play & Sing」……楽器を弾きながら歌う、彼女とはそこが(表現として)一緒なんですよね。ただ歌うだけのミュージシャンではない。

キャンディス:山崎さんもそうですよね、歌とギターが結びついている。

山崎:昨日レコーディングしましたけど、彼女が自分でアレンジも用意してくれたので、そのデモテープを聞かせてもらって。あとは一緒に音を出せば、彼女がどういうアプローチでくるのかもわかったし。だから、(今回のコラボは)まったく問題なかった。最初からそんなふうにできてよかったです。

―お二人はソウルやブルースといった音楽への造詣が深いから、共演すると聞いてすごくしっくりきました。

キャンディス:だからきっと、レコーディングもスムーズに進められたんだと思います。

―キャンディスさんのお父さんはチャカ・カーン、アレサ・フランクリンなどのバックで歌ったり、ソウルやブルースのシーンで長年活躍してきたシンガーで、幼い頃からそういった音楽と接してきたそうですね。かたや山崎さんも、ブルースを追求するためにミシシッピを訪れるほどの筋金入り。

山崎:ハッハッハ!

キャンディス:今の話を聞いて納得しました。山崎さんの歌やギターからは、そういった音楽のエモーションがすごく感じられたので。



―シンガーとしてはお互い、どういったところに魅力を感じました?

キャンディス:声のトーンが温かくてリッチですよね。洗練されているし心地良くて、一気に惹きつけられてしまう。山崎さんの突出したオリジナリティが伝わってきます。

山崎:さっきも言ったように、楽器を弾きながら歌うところ。ただ歌うだけの人だと、オケから外れてしまいがちなんですよ。でも弾きながら歌うから(ボーカルと演奏の)混ざり具合もいいと思うし、すごくやりやすいですよね。そこで彼女の音楽が成立している。それこそキャロル・キングにしたって、ピアノを弾きながら歌っているのであの声なわけですよ。

キャンディス:うんうん。

山崎:ただのボーカリストではなく、世界ができあがっている。そんなふうに(歌に演奏が)内包されているから、こちらがコーラスをつけるにしてもやり甲斐があるし、ソロをとっているときも邪魔をしたくない。そういう意味ですごく強い声だと思いますね。はてしなく自由。

キャンディス:出来上がったカバーにはすごく満足しています。山崎さんのサポートは素晴らしかったし、声もうまくブレンドさせることができました。ハーモニーも上手く合わさり、まるで声を通じてふたりで踊っているようでしたね。

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