声優アーティストの大躍進、10年間のピークタイム
ーアニソンに話を戻すと、2010年代は声優の躍進が目立った印象です。
LiSA:私がデビューした頃にはすでに盛り上がっていましたね。もっと前からそういう流れはあったのかもしれないけど、自分が知ってる範囲でも水樹奈々さんが声優としてもアーティストとしても活躍していたし、花澤香菜さん、戸松遥さん、sphereなどもそうですよね。作品に対する敬意とか感謝の気持ちも強いですし、声優というのは役者なわけで、みなさん表現力にも秀でている。それにもちろん、心地いい声を持っている。声のプロが歌うだなんて、聴きたいに決まってますよね。
ーそういう声優さんの活躍もありつつ、LiSAさんがアニソンの枠を超えた活躍をしているように、ジャンルの外側まで活動が広がっていったアーティストもいますよね。同志じゃないですけど、そういった点で共感する人はいますか?
LiSA:まずはMay’nちゃん。私よりは活動歴は先輩ですけど、多くを切り拓いてきた人ですよね。エイルちゃん(藍井エイル)もデビュー時期は私と近いんですけど、番組で一緒になったりすることも多くて。みんなで一緒にシーンを作ってきた感覚があります。
ーバンドでも、そういうシーンってありますよね。
LiSA:みんなで戦ってる人がいるほうが全体的なレベルが上がるというか。ヒーローが一人だけだと全然盛り上がらないもので、競争心って大切なんだなって思いました。ずっと先を一人で走っていると、置いていかれてるのか先を走っているのかわからなくなりそうじゃないですか。でも、同時期にいろんな人がいると、みんなで個性や得意技を競うことができる。それはお客さんもそうかもしれないですね。キャラソンのなかでも「○○単推し」とか「箱推し」とかいろいろあるんですけど、みんなすごく誠実だなって思います。それだけ同じシーンのなかで、魅力的なコンテンツがたくさんあったんじゃないかな。
ーこの10年間で、そのシーンが特に盛り上がってると思ったのはいつですか?
LiSA:一番そう感じたのは、μ’sが「紅白」に出てドーム公演をやったとき(2015年)。意識しなくても(情報が)目に入ってきたし、キャラソンというひとつのコンテンツがドームという到達点まで辿り着いたんだなって。キャラソンはたしかに盛り上がっていたけど、そんな一気に行くんだって。あの年の年末はすごかったですよね。キャラソンが突然テレビで流れるようになって、社会現象っぽくなってましたよね。