envyワンマンレポ、唯一無二の轟音が描く世界とは?

本作から使われることになったボコーダーもサウンドのアクセントとして曲を彩る。4曲目「Footsteps in the Distance」では、曲の最後に深川が<ただ1つ救いがあるなら、僕はここに戻るよ>と語る。その言葉が、ここでは深川の復帰を意味しているようだ。観客の歓声に呼応するように新アルバムの中でも激しい「Marginalized Thread」へ。フロア前ではモッシュが起きるほどの熱狂。確実に轟音の中に観客の叫び声が集結していく。“エモーショナル”という言葉では足りないほどの感情の渦がそこにはあった。

そこから、2006年発売『Imsomniac doze』収録の「Scene」へと展開すると、そのまま速度を増して新アルバムの「Fingerprint Mark」、2001年発売『君の靴と未来』から「Left Hand」へ。新旧入り混じった構成が自然に思えるほど、この日のライブは一本の筋が通ったように完成していた。曲が終わり拍手の中、深川がMCをおこなった。

深川「どうもありがとう。先週ようやく1年間かけたアルバムができました。去年の10月くらいには録り終わっていたんですけど、タイミングもあってやっとリリースできました。どうでしたか? 今までとは勝手が違う中で、新しく3人に入ってもらって。自分にとっては何もかもが新鮮で、負担もかなり軽減されました。でも、その分3人の負担も多かったと思うんですけど。とにかく、いいアルバムができたと思います。まだまだやりたいことがあるので、もう少しだけ時間を貸してください。」



そんなMCから、再び演奏へと戻る。envyの作り出す美しさは、時にシューゲイザーのような美しさを生む時がある。まさに、「Worn heels and the hands we hold」ではそのような優美な空間から、気がつけば轟音の渦へと変化していくそのストーリーにのめり込んだ。<今日を精一杯駆け抜ける君に 鼓動刻む明日は来る>そんな歌詞を叫ぶ深川のシルエットが淡い光に照らされ浮かび上がる。

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