賛否両論の正当防衛、レイプされて殺されかけたと主張する女性の訴え認められず

ブリタニー・スミスは男に自分と弟を殺すと脅されたため射殺したと供述。(Photo by Jackson County Sheriff's Office)

アラバマ州の女性ブリタニー・スミスが2月3日の審問で、正当防衛の訴えを却下された。本人が言うには、2018年1月に男にレイプされ、弟も攻撃を受けたため射殺したという。ザ・ニューヨーカー誌によると、彼女は終身刑を求刑されている。

「覚悟はしていましたが、ここでは公平な裁判は受けられる気がしません」とスミスは同誌に語った。「(判事は)私の写真を見ているんです。奴は私をもう少しで殴り殺すところでした。私をレイプして、弟まで殺そうとしたんです。それなのに、あんな判決を出すなんて」

ジェニファー・ホルト裁判長は、審問から3週間以上経った後に配布された19ページに渡る判決書で、トッド・スミス(血縁関係はない)という男が自分に危害を加えるつもりだとブリタニー・スミスが信じる理由があったかどうか定かではない以上、彼女が凶器を使用したことは完全に正当化できない、との判断を下した。

問題の事件が起きたのは2年前。ザ・ニューヨーカー誌によると、トッド・スミスがブリタニーに電話をかけ、市立公園で立ち往生してしまったので迎えに来てくれないか、と頼んだ。2人は以前から面識があり、その前の日に彼女は男から子犬を購入していた(トッドは父親と口論になって家から追い出されたことを彼女に黙っていた)。ブリタニーは不審に思いながらも、雪が降っていたこともあり、弟のクリス・マッカリーを連れて助けに向かうことにした。

マッカリーがブリタニーの家で2人を降ろした後、話題はメサドン中毒のことになり――ブリタニーはすっかり薬を辞めていた――彼女が断薬をこれみよがしに自慢していると感じたトッドは、態度を変えて暴力を振るったと見られる。

ザ・ニューヨーカー誌によると、トッドは彼女をベッドに投げ倒し、失神するまで首を絞めた。目が覚めたとき、彼女は全裸で、尿まみれで横たわり、レイプされていた。事が終わると、トッドは他言すれば殺すと脅し、煙草をせがんだ、とブリトニーは供述した。ブリタニーは車を持っていなかったため、母親に電話をかけ、母親はマッカリーを迎えに行かせた。トッドが会話を聞いていたため、母親に事情を伝えることができなかった、とブリタニーはザ・ニューヨーカー誌に語っている。

マッカリーは2人をガソリンスタンドまで送り、ブリタニーがタバコを買いに行っている間、男性2人は車内で待機していた。レジ係のペイジ・ペインター氏は服装が乱れている彼女を見て、大丈夫かと尋ねた。ブリタニーはトッドの名前を書いた紙切れをこっそり手渡し、この男に殴られレイプされたと言った。そして店員に、トッドに殺されるかもしれないから警察には通報しないでくれ、と告げた。

3人が家に戻ると、ブリタニーは母親にメールでトッドのことを知らせた。母親はマッカリーに電話し、マッカリーは自分の銃を取ってきて、トッドに立ち去るよう命じた。相手が拒否すると、マッカリーは力ずくで追い出そうとしたが腕っ節では敵わず、トッドはマッカリーの首を絞め始めた。ブリタニーが間に割って入り銃を掴み、弟を放せと言った。ブリタニーの話では、トッドが2人を殺すと脅したため、発砲して警察に通報したそうだ

Translated by Akiko Kato

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