ブラック・サバス50周年、革命的なデビューアルバム制作秘話

4. アルバム・カバーのデザイナー「キーフ」は、もともとセクシーなジャケットを作ろうとしたが、それでは上手く行かないと気づいた

ヴァーティゴのお抱えアルバムアート・デザイナー「キーフ」ことキース・マクミランが初めて『黒い安息日』を聞いたとき、そのダークさに衝撃を受け、このジャケットの写真をどこで撮影したいのかがはっきりとわかった。それはイギリスの田舎にある15世紀の水車小屋。過去50年間、マクミランはほとんどインタビューを受けておらず、ローリングストーン誌の前に2度受けただけだった。それも断れない得ない状況で受けたものだと言う。自発的に取材を受けるのは今回が初めてて、ブラック・サバスが大好きだから話すことにしたと、彼が言った。

マクミランは、最初は彼専属のモデルのルイーザ・リヴィングストンをヌードにしていくつかの場面を試してみたが、もっと良いアイデアを思いついたと言う。「実は彼女はあのマントの下は全裸だった。それというのも、その前にもっと際どいアイデアを試していたからで、それがイマイチ上手く行かないと思ったんだ。そこで生まれたのが、セクシーな要素をすべて削ぎ落とした不吉な前兆というイメージだった」と。

リヴィングストンも、今回のローリングストーン誌のインタビュー以前にこのアルバム・ジャケットについて一度も語ったことがない。彼女はこの写真の撮影時の凍える寒さを今でも鮮明に覚えていると述べた。「この日は朝4時の起床だった。現場ではキースがドライアイスを水に放り込みながら忙しく動き回っていたわ。でも、あまり上手く行っていないようで、最後にはスモークマシンを使ったの。撮影は『そこに立って、こうして』という感じで進んだわ」とリヴィングストンが教えてくれた。

5. このアルバムのレコーディング・セッションは、同じスタジオの上の階で撮影していたアニメーションを台無しにするところだった

ロンドンのリージェント・サウンド・スタジオは、テレビのCM制作で使われていた一流スタジオの階下にあったと、音響エンジニアのトム・アロムが言って、説明してくれた。「この一流スタジオではアニメーションが頻繁に撮られていたから、スタッフが撮影する対象物を動かす間、カメラのドリー(台車)はピクリとも動いてはいけなかった。それが当時のアニメーションの作り方だったから。でも、あるとき僕に電話がかかってきて、相手が『トム、下では何をやっているんだ?』と聞いてきた。ちょうどギーザー・バトラーのベースをレコーディングしていて、その振動が上の階に置いてあった重いドリーを動かしていた。床の上でドリーがワルツを踊っていたらしい。だから、僕はギーザーに『ごめんな、こっちのスタジオの使用料は1時間10ポンドだけど、上の階は100ポンドでさ。今、上の連中が困っているんだよ』と説明せざるを得なかった。そして、彼のベースをボードに直接つなげて録音することを了承してもらわないといけなかったんだ。それまではアンプをの音を拾って録音していたから、実際に試してその音を確認するまで彼は違うやり方を嫌がったよ。でもその音を聞いた彼は「録音した自分のベースを初めて聞いたよ」と言った。アンプから出てくる音は、こもった大きな振動にしか聞こえないからね」と。

Translated by Miki Nakayama

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