ポン・ジュノ監督が語る、『パラサイト 半地下の家族』誕生秘話

第92回アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4部門を受賞した映画『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督(Photo by Rachel Luna/Getty Images)


ある日、ギウは裕福な一家が娘の英語の家庭教師を探していることを知る。妹ギジョンは兄のために大層な偽の大学の入学証明書をこさえてやり、身分を偽ったギウは見事家庭教師の座を手に入れる。ギウの世界は一変し、IT企業の社長で大金持ちのパク・ドンイク(イ・ソンギュン)と妻ヨンギョ(チョ・ヨジュン)が暮らすモダニスト建築のミニ豪邸で過ごす時間が多くなる。豪邸には、巨大な窓がある広々としたリビングルームからパク一家のスタイリッシュな2階のベッドルームへと続く階段がある(ポン監督はプロダクションデザイナーに階段の一面をガラスパネルにするよう指示した。それにより「人が階段をのぼる、という普段はあまり目にすることがない絵が撮れる」と言った。監督曰く、この階段は、ロマン・ポランスキー監督の『ゴーストライター』に登場する家からインスパイアされている)。

思春期前のませた息子のために美術の家庭教師を探している、と言うパク夫人に対し、ギウはぴったりの人物を知っている、と答える。絵画の先生として妹ギジョンを豪邸に潜り込ませることに成功すると、両親を送り込むのは時間の問題だ。巧みながらも汚い手をいくつか屈指したおかげで、パク一家に新しい家政婦と運転手が加わる。裕福な一家が休暇に出かけると、キム一家はまるで住みつくように豪邸を乗っ取っては、上流階級の雇用主が謳歌している気取った生活を享受する。こうしてキム一家は、自分たちと正反対の立場にある上流階級に“取って代わる”のだ。

さらに、同作には3つ目の階段が存在することも指摘しておかなければならない。それは、ある秘密が潜む壁に隠れている。本作の中盤でこの予期せぬ通路が登場すると、物語はまったく別の姿を表し、上昇を描いた狡猾な皮肉から、より興味深くも危険な映画へと変わっていく。監督の母国である韓国では、この予期せぬ展開がはらむ意味が原因となって公開後に大きな議論が巻き起こった、と言ってもいいくらいだ。


『パラサイト 半地下の家族』のセットでのポン・ジュノ監督

Translated by Shoko Natori

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