幻覚剤セラピーやエネルギー療法、オスカー女優が「トラウマ克服」語る怪しい健康法

グウィネス・パルトロー(左)とエリーズ・ロウネン(Adam Rose/Netflix)



霊媒師の言うことはウソかホントか?

その2:ヴァンパイア・フェイシャルで若々しく。

2015年に世間をにぎわせたニュースに精通している人であれば、おそらくヴァンパイア・フェイシャル、つまり多血小板血漿(PRP)の顔面注射の記事をクリックしたことがあるだろう。2015年の美容健康ブームの大半がそうであるように、ヴァンパイア・フェイシャルも火付け役はキム・カーダシアン・ウェストだった。彼女はリアリティ番組『Kim and Kourtney Take Miami(原題)』で施術を受け、ちょっとしたブームを起こした。基本的にRPR施術では、採血して、遠心分離器にかけて血漿を抽出し、それを顔に再注入する。そうすることで見た目が若返り、若々しさを保つことができる、と言われている。

Goopのエディターは、自分たちのお気に召さないSEO向きの健康ブームにお目にかかったことがないのだろう。とあるエピソードではパルトローが施術を受け、息を弾ませてその効能を高らかに述べた。「私の子供のパパが『5歳は若く見えるよ!』ですって!」(読者諸君、彼女の見た目は施術前と全く同じだ)。いくつものスパが施術を行っているが、実際にPRP療法の効果を裏付ける証拠はないし、益よりもむしろ害を及ぼす場合もあることも分かっている。ニューメキシコ州の保健局は2018年、施術を受けた2人の顧客がHIV検査で陽性反応が出たのを受け、アルバカーキのスパを閉鎖した。だから諸君、大枚をはたいて自分の血を顔に塗りたくらずに済む理由が欲しいなら、これで十分だろう。

その3:遺伝的に「直感の冴えた」人々は、死者と交流するパワーを備えている。

とあるエピソードで、ローラ・リン・ジャクソンと名乗る霊媒師が登場する。ジャクソン氏は愛想が良く、陽気で、うさんくさいまっすぐな金髪をしている。透明な「スクリーン」、いわば死人専用のFaceTimeもどきを通じて死者と接触することができる、と本人は主張している。彼女の相方を務めるのは、ウィンドブリッジ研究センターのジュリー・ベイシェル博士という学術的“専門家”。博士はサイキック能力は科学的に裏付けられている、というジャクソンの主張を支持し、その証拠として「4重に目隠しした盲検試験」を挙げている。

番組内では“サイレント”リーディングなる詐欺師の手法を実演してそそくさと公正さを示したが、実はサイキックが相手のボディランゲージから、答えのヒントを探っているだけだ。一応、懐疑的なスタッフも登場する。彼女のリーディングはさほど盛り上がらなかったのだが、そこへ背後から泣きじゃくったプロデューサーが現れ、ジャクソンはうっかり間違えて自分をリーディングしたのだと告げ、うやむやのまま終わった。だがベイシェル博士を出演させたことで、このエピソードは(アホ丸出しとは言わないまでも)浅はかなサイキック実演ショーから、まっとうな研究分野として掘り下げた回に昇華した。もちろん、実際はそうではない。

まず手始めにウィンドブリッジ研究センターだが、これはベイシェル博士と彼女の夫が運営する、寄付金頼みの非営利研究センターだ。たしかに彼女は博士号を取得しているが、アリゾナ大学の薬理学部と毒物学部で取得したもの。仮にこれが、例えばアンフェタミンの排出物に関する回だったら、Goopが拠りどころとする正当な専門家としてはうってつけだっただろう。だが、死後の世界が本当にあるのかという問題に関しては、決して専門家とはいえない(神や大学生のヤクの売人以外に適任者がいるとも思えないが)。胸がムカムカしたのは、死後の世界と交信すれば、愛する人を失って打ちひしがれている人も効果的に悲しみを乗り越えることができる、という説をベイシェル博士がぶちまけ、パルトローとロウネンが少しも反論しなかったときだ。

Translated by Akiko Kato

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