ビリー・ジョーが語る、人生を形作ったグリーン・デイの15曲

ビリー・ジョー・アームストロング、ニューヨークのWebster Hallにて。2016年10月8日撮影(Photo by Ryan Pfluger/The New York Times/Redux)



10.「ホリデイ」
『アメリカン・イディオット』(2004年)

James Mccauley/Shutterstock

あの頃、この国はありもしない事実を理由に戦争を始めようとしてた。本当の動機は政治的な優位と石油だったんだ。この国が分断されつつある、そう感じてた。俺はジョージ・W・ブッシュこそが、今のアメリカの状況の元凶だと思ってる。この曲は政治家たちがテレビで話すこと、学校で教わること、家族という存在、そして宗教について疑問を持ち、自分なりの考えと声を見つけ出すことについてなんだ。

俺は自分自身がこの物語のキャラクターになったように感じてて、とにかくエグいものにしたかった。明らかに挑発的なものを作りたかったんだ。「毒ガス大統領に敬礼」っていう古いナチスのプロパガンダ映画に出てきそうなフレーズは、対比的にアメリカ政府の一部を指してる。英語っていう言語に対する冒涜のようなつもりで言葉を紡いでいったんだ。あのリフはコードをあれこれと試しつつ、エコーやディレイをかけたりするうちに思いついた。俺がリフを考えるときの典型的なパターンさ。




11.「21ガンズ」
『21世紀のブレイクダウン』(2009年)

Jason Decrow/AP/Shutterstock

あの頃の俺は精根尽き果ててた。音楽的にも歌詞の面でも、自分の限界を押し広げようと躍起になった結果、曲はすごくダークでシリアスになった。全部投げ出してしまいたいと感じてたし、自分が生き霊のように思えた。そういう時って、周囲の人々を傷つけてしまうんだ。家族や友人の誰も自分が抱えてる苦しみを理解してくれない、そんな風に思ってしまうんだよ。それがアーティストの性なのか、それとも歳をとることに伴う痛みなのかはわからないけどね。

この曲で歌ってるのはそういうことで、ずっとやってきたことに対して確信が持てなくなってしまい、何とか元の軌道に戻ろうともがいてるんだ。正気を取り戻そうとしていると言ってもいい。自分が何と戦っているのか、それを見極めないといけない時ってあるんだよ。なぜならその相手は自分自身だったりするから。途方に暮れることっていうのは、俺の曲の大半に共通しているテーマだと思う。




12.「フェル・フォー・ユー」
『ウノ!』(2012年)

Kevin Estrada/Invision/AP/Shutterstock

俺は『ウノ!』『ドス!』『トレ!』の3部作を、俺たちなりのパワーポップ版『メインスリートのならず者』にしたかったんだ。演奏は粗いし、プロダクションがお粗末だってことは自覚してるけどね。曲自体は気に入ってるんだけど、その大半が未熟だってことは認めざるをえない。あの頃俺はいろんなことを抱え込んでて、人知れずノイローゼになってた。人知れず、ってのは間違いかもだけどね。あの頃は消耗しきってたんだと思う。あの(3枚の)アルバムには36曲くらい入ってるけど、普通じゃ考えられないよな。でも聴き返してみると、「フェル・フォー・ユー」の出来は抜きん出てると思った。当時俺はパワーポップを聴き漁ってた。パワーポップって地球上で最も過小評価されてる音楽だと思うんだよ、チープ・トリックとかさ。あの頃俺は、夢とか愛とか失恋とかそういうありきたりなことについて、間抜けなぐらい能天気な曲を書きたかったんだ。

そういうのって、歳をとっても変わらずに経験するからね。一緒にいたいって思える人との出会いは絶えないけど、常に現実を見ないといけない。若い頃は衝動的に行動するのもアリだけど、大人になってからだと致命傷を負いかねないからね。だから曲にするっていうのが一番賢いやり方なんだよ。


Translated by Masaaki Yoshida

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE