ビリー・ジョーが語る、人生を形作ったグリーン・デイの15曲

ビリー・ジョー・アームストロング、ニューヨークのWebster Hallにて。2016年10月8日撮影(Photo by Ryan Pfluger/The New York Times/Redux)


7.「グッド・リダンス (タイム・オブ・ユア・ライフ)」
『ニムロッド』(1997年)

Dick Loek/Toronto Star/Getty Images

この曲は『ドゥーキー』を作ってた頃に書いた。エクアドルに引っ越すガールフレンドのために書いた曲なんだ。ある日バークレーのあるハウスパーティーに行ったんだけど、大学生たちがアコギを回しあって順番に歌ったりしてた。ポニーテールの変な男がアコギを抱えてるっていう、ドラマとかでよく見る構図さ。俺もアコギを使った曲を書いてみようかなって、その時ふと思ったんだ。それで生まれたのが、その娘との関係の終わりを歌ったこの曲さ。「思い出のタトゥーと試される死んだ皮膚」っていう歌詞は、タトゥーで入れた彼女の名前を隠さなくちゃいけなかったっていう、俺自身の経験に基づいてるんだ。

身近な人が自分とは違う道を選ぶことをクールに受け止める、そういうことを表現しようとしたんだ。この曲自体、当時のバンドの作風とはガラっと違ってたしね。ツアーに出る準備をしつつ、『ドゥーキー』のプロモーションをして、ラジオではシングル曲がかかり始めてた当時、状況が大きく変わりつつあるのを感じてた。彼女は勉強を続けるために、エクアドルに引っ越して家族と一緒に暮らすことにしたんだ。人生は素晴らしい出会いに満ちてるけど、気付けばそういった人々が自分の前からいなくなってしまってる。この曲ではそういうことを歌ってるんだ。

93年の時点で曲は完成してたけど、グリーン・デイとして発表することはないだろうと思ってた。『インソムニアック』の制作時にはデモも録ったけど、アルバムには合わなかったし、この曲をどう扱うべきか自分でも分からなかった。でも『ニムロッド』を作ってた時に、もう一度試してみようと思ったんだ。弦楽四重奏のストリングスなんて、グリーン・デイのイメージとはまったく無縁だったけど、やってみると見事にハマった。この曲はバンドの新境地を開いたし、自分たちの更なる可能性を感じることができた。

この曲にはそれだけで成立する存在感があると思う。結婚式やら卒業式で使われることになるとは、作ってた頃には夢にも思わなかったけどね。つい最近、弟を亡くしたばかりだの女の子からInstgramでメッセージをもらったんだけど、家族全員がこの曲を聴くたびに彼のことを思い出すんだってさ。それってソングライターにとって、これ以上ないってくらい名誉なことだよ。




8.「マイノリティ」
『ウォーニング』(2000年)

Pat Johnson/Shutterstock

「タイム・オブ・ユア・ライフ」の後、俺はアコギを使った曲をもっと書くようになって、『ウォーニング』にはそういう曲をたくさん入れたかった。それに当時はロクでもないポップパンクが蔓延してて、そのジャンルから距離を置きたかった。それが次のステップでもあると感じてたんだ。当時はキンクスやザ・フーをよく聴いてたんだけど、彼らはアコースティックでもパワフルな曲を書いてたし、ギターをほとんどドラムみたいに使ってたりした。「ピンボールの魔術師」なんかはすごくパーカッシブだ。この曲を書いたのはジョージ・ブッシュとアル・ゴアの大統領選の直前で、俺は政治がやや右寄りに傾きつつあると感じてた。あの曲で言わんとしたのは、やつらが群れから抜け出し、独善的な個人主義を掲げようとしているってことだった。それまでよりもコンセプチュアルな方向に進もうとしていたのは確かだね。

あのアルバムは録り直したいと思ってるんだ。当時はプロツールズが主流になり始めたばかりだったんだけど、あのアルバムの曲はもっと生っぽい音のほうが映えるんだよ。「マイノリティ」は音源よりも、ライブバージョンの方がずっと良いんだ。まぁきっと考え過ぎなんだろうけどね、よくあるパターンさ。




9.「ジーザス・オブ・サバービア」
『アメリカン・イディオット』(2004年)

Frank Mullen/WireImage

俺はザ・フーの『ア・クイック・ワン』が好きで、自分でもミニ・オペラのような曲を書いてみたいと思った。俺たちは何でも好きなだけ試せるスタジオを持ってたから、マイクとトレと俺の3人がそれぞれが30秒程度の小品を持ち寄って、それをスタジオでくっつけてみることにした。

「アメリカン・イディオット」を書いた後に、「このキャラクターは誰なんだ?」って考えたんだ。それから徐々にアイディアが固まり始めた。「俺は怒りと愛の産物/郊外の神だ/既出でないことの聖書」自分がまったく新しい領域に足を踏み入れたって、あの時初めて強く感じた。ソングライターとして一皮向けた、そう実感したんだ。冒頭はほとんどドゥー・ワップみたいなのに、終盤はまるでブラック・サバスだ。例えるなら、8分間の世界一周旅行ってところさ。この「郊外の神」っていうキャラクターは、結果的にアルバム全編に登場することになった。


Translated by Masaaki Yoshida

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