マデオンに訊く、若くして成功したEDMプロデューサーの「その先の人生」

2020年1月、マイナビ赤坂BLITZで来日公演を行ったマデオン(Photo by Masanori Naruse)


―「Pop Culture」を発表した2011年当時、インターネットのカルチャーから受けた影響は大きかった?

マデオン:そうだね、僕は多くの時間をオンラインに費やしてきた。仲のいい音楽の友達も、みんなネットを通じて出会ったし。

―ポーター・ロビンソンともネットで知り合ったそうですね。あなたが12歳のときに。

マデオン:そうそう。実世界で周りにいた人たちは、音楽にそこまで興味をもってない人ばかりで、誰も僕が作っているものに興味を示してくれなかったんだ。だから、ネットにいる人たちが、自分にとって最大の理解者だと感じていた。僕らはたぶん、ネットによって文化的なアイデンティティが形成された最初の世代といえるんじゃないかな。

―具体的にいうと?

マデオン:2011年当時は、多くのヴァイラルビデオが出回っていた。現在は存在しないフォーマットだけど、あれはユニークだった。何かおもしろいものがあれば、それが一気に拡散していったよね。あれは当時のネットカルチャーを象徴するものだったし、自分もそういう文化から得たものは多かった。今はもう、あそこまでの広まり方はなくなった気がする。

―たしかに。

マデオン:それにネットは、音楽とアクセスするための手段でもあった。アーティスト名さえ知っていれば、YouTubeか何かですぐに曲を聴くことができる。少し前まではありえなかったことだよ。そのスピード感で、音楽のカルチャーもどんどん形成されていった。それに、世界中のメディアにアクセスできるようになったのも大きかった。例えば、2010年ごろの僕は、日本のCAPSULEの大ファンだったわけだけど、彼らの曲はフランスのラジオ局では流れてこなかった。情報を探す方法はオンラインしかなかったんだ。そんなふうに、ネットのおかげでグローバルな音楽体験ができるようになったことが、今の自分にもつながっている。


中田ヤスタカによるマデオン「Pay No Mind」のリミックス

―以前から日本の音楽やポップカルチャーへのリスペクトを公言してますよね。最近も何か気になるものはありましたか?

マデオン:『君の名は。』には心から感動した。世界的なセンセーションを巻き起こした作品だし、僕にとっても映画における大きなハイライトになったよ。あと最近は、フランスにいた頃に影響を受けた作品と向き合い直している。例えばビートルズの作曲スタイルや、中田ヤスタカのプロダクションだったりとかね。

それから、福居良という素晴らしいピアニストがいて。彼の『Scenery』というアルバムが最近のお気に入り。80年代の作品だと思うけど(実際は1976年リリース)、よく聴いているし影響も受けている。日本のポップ・プロデューサーやジャズ・ミュージシャンは、ジャズの理論を独自に解釈していて、個人的にはアメリカのジャズよりもユニークに感じるときもある。そこが僕にとっては大きいんだ。



―へー、おもしろい。

マデオン:あと、今はLAに住んでいるから毎週のように映画を見ていて、宮崎駿の作品には音と映像の両方でいつも感動している。特に音楽面はインスパイアされる部分が多くて、メロディのなかにある数学的なシンメトリーに困惑しながらも感銘を受けている。

ただ、こうやって話しながら気づいたんだけど、ここ最近は昔のお気に入りに依存しすぎたかもしれない。僕は日本に来るたび、タワーレコードで気になるCDを適当にピックアップして、それを全部聴くようにしている。そうするといつも大発見があるんだ。今夜もこのあと行く予定だから、もし1週間後に同じ質問をされたら、もっとフレッシュな回答になると思うよ(笑)。

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