スーパーボウル・ハーフタイムショー、歴代出演者31組の格付けチェック

28位〜25位

28位:フィル・コリンズ、クリスティーナ・アギレラ、エンリケ・イグレシアス、トニ・ブラクストン、ティナ・ターナー(2000年)




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顔ぶれだけ見ると期待できそうだが、ところがどっこい、どのスターもヒット曲をやらなかった――フィル・コリンズに合わせてエアドラムをするのを楽しみにしていた人々、あるいはクリスティーナにノリたかった人々は、誰も知らないダサいバラードに期待を裏切られた。フィルは『ターザン』の愛のテーマを歌い、クリスティーナとエンリケは「Celebrate the Future Hand in Hand」とかいう曲で観客の神経を逆なでした。「Proud Mary」ですらティナを炸裂させるには至らなかった。これはスーパーボウルなのだ。あっと言わせなくてはならない。ちゃんと心から好きなものをやらなくてはならないのだ。


27位:グロリア・エステファンとオリンピックのフィギュアスケート選手たち(1992年)




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ミネソタ開催の年だったので、題して「ウィンターマジック」ページェント。巨大な雪だるまにフィギュアスケート選手のドロシー・ハミルとブライアン・ボイタノ。クイーンの「Don’t Stop Me Now」に合わせて、可愛くない小人集団がアイスホッケーのスティックを振り回しながら踊る。そしてグロリア・エステファン。壮大な白銀の北国といえば、当然思い浮かぶのはグロリア・エステファン&ミネアポリス・サウンド・マシーンだからだ。だが視聴者はチャンネルを回して、コメディドラマ『In Living Color』の生放送特番に変えてしまった――世界を変えた天才的なアイデアのひとつだ(『In Living Color』はアイデアの宝庫だった)。それまで、誰もスーパーボウルのハーフタイムに対抗しようとしなかったが、見事大成功。安っぽいディック・バトカスネタのジョークでさえも、1月に「ウィンターワンダーランド」を聴くよりはマシだった。この年が大きな転換期となった。『In Living Color』の賭けがようやくスーパーボウルに揺さぶりをかけ、ハーフタイムショーに本腰を入れさせたのだ。翌年ハーフタイムに起用されたのはマイケル・ジャクソンだ。


26位:パティ・ラベル、トニー・ベネット、テディ・ペンダーグラス、マイアミ・サウンド・マシーン(1995年)




1995年、アメリカ、マイアミ州にて マイアミのジョー・ロビー・スタジアムで行われた第29回スーパーボウルのハーフタイムで、大観衆を楽しませるトニー・ベネットとパティ・ラベル(Photo by Hans Deryk/AP/REX/Shutterstock)


全く、1995年は名だたる大惨事が相次いだ年だった。『ウォーターワールド』、“ハリケーン”ピーター・マクニーリー、ビル・クリントンの秘書が「大統領、女性がピザを届けに来ました」と告げた運命の日。そしてこれ。ディズニーはフィールド上でインディ・ジョーンズの劇を繰り広げたが、賢明にもハリソン・フォードは関わっていない。パティ・ラベルとトニー・ベネットはそこまで運が良くなかった。フィナーレの「愛を感じて」に至る頃には、全米の視聴者が恐怖で口をあんぐりしていた――ナチスの兵士たちが失われたアークをこじ開けるのを見守るかのように。


25位:ピート・ファウンテン、アーマ・トーマス、ダグ・カーショウ、スヌーピー(1990年)




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ニューオーリンズ礼賛、漫画『ピーナッツ』の生誕40周年記念、そしてたぶん、ドラッグへの思いもあったかもしれない。一体どういう組み合わせ? ジャンバラヤやマルディグラとチャーリー・ブラウンの間にどんな関係性が? だがニューオーリンズらしさのおかげで、音楽は懐メロ感全開でそれなりにウケはよかった。最後はミシシッピ川を下る蒸気船に乗ったスヌーピーが「聖者の行進」に合わせて踊り、「ハッピーバースデー、チャーリー・ブラウン」へと続く。その一方で、コテンパンにされたブロンコスファンの視聴者は、ハーフタイム前に二度とハイにならないよう誓った。

Translated by Akiko Kato

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