突然のリストラにDJとリスナーが団結、米デモインの地方ラジオ局で起こった逆転劇

復職に加えて大きな前進も

フェイルズ氏とマーフィー氏は転職するか、番組を別のラジオ局に売り込みにいくか、またはもっと実入りのいいポッドキャストに参入するつもりでいた。だがデモインの怒りの声がiHeartMediaの本部の耳に届き、本部はKXNOの管理部門と解雇したスタッフの復職について話し合った。翌日、局側は解雇された従業員の復職を発表した。

それどころか、局側は新規拡大に乗り出した。「5000ワットのAM局だったのが、2万5000ワットのFM局(での同時放送)になるんですよ」とフェイルズ氏は説明した。「つまり、CM枠やスポンサー枠がもっと増えるということです。大きな前進ですよ」

KXNOのゼネラルマネージャーを務めるジョエル・マクリー氏にコメント取材を申請したが、返答は得られなかった。だが局の公式Twitterでこのように応じた。「皆さんの意見はよくわかりました」と、木曜午後にKXNOのフォロワーに向けて述べた。「私が間違っていました。全員、火曜日の朝6時に戻ってきます!」

「自ら進んで間違っていたことを認め、素直に謝罪する人もいることがわかって嬉しいです」とフェイルズ氏は言う。「素晴らしいですね。すごく人間らしいと思います」

リストラされ、その後復職した番組ディレクターのアンドリュー・ダウンズ氏もコメントを控えたが、Twitterに「人は間違いを犯すものです……そういうときは心から謝罪し、間違いを正す努力をしてくれると願うしかありません」と投稿した。

「地方はもちろん全国レベルでも、iHeartRadioがKXNOを骨抜きにしたのは間違いだと気づいてくれて、嬉しいです」と、ダウンズ氏はこう続けた。

残念ながら、デモイン規模の他の都市の従業員たちはダウンズ氏を含む5人の従業員のような幸運には恵まれなかった。「地域が何かに価値を見いだすのは、地元コミュニティとのつながりを感じているからなんです」と、フェイルズ氏は地元ラジオ局の重要性についてこう語る。「それを取り去って全国放送の番組を流したり、地元の話をする地元のDJがいない、ただ音楽を流しているだけの番組に、人々はつながりを感じられなくなってしまう。ラジオに集まる理由がなくなってしまうんです」

彼はさらにこう付け加えた。「そんなのまるで、人影のない、もぬけの殻の商店街のようです」


Translated by Akiko Kato

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