グレタに続け、若き環境活動家との対話「変化を起こせるのは私たち世代だと信じている」

ダボス(スイス)を訪れたアークティック・ベースキャンプの若き代表団。写真左からWenying Zhu(25、中国)、Kaime Silvestre(23、ブラジル)、Vanessa Nakate(23、ウガンダ)、Brooks Whiteman(15、英国)、Eva Jones(18、米国)。(Photo by Arctic Basecamp / Henry Iddon)



「メディアの伝えるニュースは偏りすぎている」

ー現在気候変動の被害を受けている地域にもっとメディアの関心を向ける必要があるということですが、どのようにしたらメディアはもっと効果的に気候変動危機を伝えられるでしょうか?

Vanessa Nakate:メディアの伝えるニュースは偏りすぎていると思います。例えばアフリカの多くの国々では、昨年10月から毎日のように豪雨による洪水被害を受けています。私たちアフリカ出身の活動家は、避難を余儀なくされ家族を失った多くの住民への支援を呼びかけています。けれどもメディアはほとんど注目してくれませんでした。他の災害を伝えることは全く構わないのですが、カリフォルニアの火災については連日報道されていました。オーストラリアの火災のニュースも毎日流され、多くの支援が集まりました。アフリカの国々にも同じように苦しむ人々がいるのに、私はとても悲しい気持ちになります。アフリカの人々はカリフォルニアやオーストラリアの人々ほど裕福とは言えず、でも大きな被害を受けているのです。不思議なことにメディアは全く関心を寄せません。アフリカにおける大災害についてはほんの少し触れるだけで、欧米の災害のニュースを毎日流しています。とてもイライラします。

Kaime Silvestre:ブラジルでは、先住民の大量虐殺が問題になっています。でもメディアは社会問題として取り上げません。アマゾン流域の8カ国にはとても多くの先住民が暮らしていますが、特にボルソナロが大統領を務めている今、彼らは全く守られていません。

Eva Jones:ニュースの伝え方に問題があるのだと思います。今は何事も、ネット上で注目を集めるかどうかが判断基準になっています。大多数の人々に怒りを感じさせるようなインパクトのある見出しを付けることが重要なのです。従って残念ながら特定の国々は話題から取り残され、伝えるべき災害のニュースが流れません。悲惨な映像を毎日見せられ続けているために、人々も感覚が麻痺しています。だから人々は、積極的に問題に関与して声を上げるのをためらっているのだと思います。目にするものから痛みを感じたくないのです。メディアは問題の解決策にもっと注目すべきだと思います。私たちが今回参加したような会合のように、もっと突っ込んだ内容を記事に取り上げて欲しいのです。事象だけをただ流しても問題解決には繋がりません。24時間毎日垂れ流されているニュースに皆うんざりしているのだと思います。

ー同世代の若い人たちの気候変動危機に対する関心の高さや、変化を起こそうとする彼らの積極性について、どう感じていますか? 友人たちは一緒にデモに参加したりするのでしょうか。それとも無関心や無力さを感じますか?

Wenying Zhu:依然としてニッチな市場だと言えるでしょう。最も重要な問題は、気候変動問題をどうやって主流に持っていくかだと思います。気候変動は、世界中の誰にも関わる可能性のあるリスクのひとつです。関心を持つべき問題であることを人々に理解してもらうことが、最も重要だと思います。

Eva Jones:私は今、多くの人々が関心を持っていると思います。人々がありとあらゆる方法で問題に取り組んでいると感じます。小さな行動の変化ですが、政治にあまり関心のなさそうな友だちも、「ねえ、ペーパータオルを使うのをやめたよ」と言っています。人々が積極的に関与しようとしないのは、悪いニュースばかりが流れ続けているからだと思います。特に私の住むオレゴン東部では、森林火災や氷河の融解やサーモンの数は身近な問題です。10分間もニュース記事をスクロールし続けていると、それぞれの問題解決のためにどんな施策や商業的な解決策が考えられているかなどの詳細まで読んでいられません。「もうたくさん。もっと楽しいニュースが読みたい」と思ってしまいます。気候変動に関するニュースはネガティブなものが多く、積極的に何かしようと思う有用な情報が得られないのです。

Brix Whiteman:私は15歳ですが、気候変動問題の対策が非常に不十分で、何か行動を起こそうという積極性も低いと思いました。誰もが「あまり気にしない」という感じです。みんな深刻に受け止めていません。私たちは目を覚まし、行動を起こす必要があると思います。今は誰かが行動を起こすと、「なぜそんなことをしているのだ?」と見られます。深刻な問題だと捉えられていません。

Vanessa Nakate:私たちが直面している大きな問題は情報と、そして政府や警察に対する恐怖です。私の国では、抗議デモを行うことは違法です。私たちには言論の自由がなく、多くの国民の意思決定に影響を及ぼしています。積極的に行動したいと思う国民は多いと思いますが、逮捕されたり催涙ガスを浴びたりするのが怖いのです。

もうひとつの理由は、国民の多くに気候変動危機についての情報が伝わっていないことです。私は自分で調べて気候変動に関する事実を知りました。でも自発的に知ろうという人はほとんどいません。何らかの方法で情報を伝える必要があります。ただ、人々のメディアに対する注目度は高いことに気づきました。だから気候変動に関するニュースを流せば、影響は大きいと思います。解決策をもっとニュースとして流すという意見には賛成ですが、基本的な情報が不足している地域もあるのです。まずはメディアが積極的に、人々が直面している災害に関するニュースを取り上げ、気候変動に関する人々の理解度を上げていく必要があると思います。

Eva Jones:突き詰めるとメディアもビジネスで、利益を追求するのがビジネスです。データを開示して気候変動の理解度を上げるのは、該当する地域の教育システムや政府の責任だと思います。欧米の新聞社に、そのような地域にまで情報を届けさせるのは難しいし、現在のビジネスの仕組みを考えると実現性は低いと思います。

Kaime Silvestre:私はいつも、自分の友だちを中心に若い人たちを活動に誘うようにしています。変化を起こせるのは、私たち若い世代だと信じています。一人一人が少しずつでも地球に貢献すれば、大きな改革を実現できると思います。香港が良い例です。変化を強く求める若い人たちが街へ繰り出しています。世界全体で同じことができれば、世界はより良くなるでしょう。いつか実現することを願っています。

Translated by Smokva Tokyo

タグ:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE