アル・ゴアが考える気候変動問題「絶望している場合ではない」

グリーン・ニューディールとグレタ・トゥーンベリについて

ー社会正義と経済的視点を組み合わせたグリーン・ニューディールについてのご意見をお聞かせください。あなたなら、正しい道を進むための第一歩と見ていると思います。

大賛成で、私は熱烈な支持者だ。先程、反核運動が起きた時代について触れたが、その当時私は核軍備制限について研究していた。私は核兵器の凍結はあまりに短絡すぎる考えで、実現は不可能だと考えていた。しかし大多数の米国民は「核兵器凍結に賛成だ」と声を上げ、民主党と共和党のどちらの政党でも多数派を占めた。最終的にロナルド・レーガンは大きな決断を下し、ソ連のゴルバチョフ書記長とゼロ・オプションについての交渉を開始し、さらに歴史的な戦略兵器削減交渉(START)の合意を取り付けた。当時、専門家を自任する人々が核兵器凍結を批判したが、今またグリーン・ニューディールに対しても同様のことが起きている。詳細は立法のプロセスで詰められていくだろう。私としては、大賛成だ。

ーあなたはグレタ・トゥーンベリ氏と面会し、彼女の行動に注目しているようですが、気候変動問題に関わる若者に対する彼女の影響力をどのように見ていますか?

彼女の出現は自然なことだと思う。彼女の発言の多くは記憶に残っているが、特に2019年9月の国連でのスピーチは印象に残っている。その時私は国連総会に出席していたが、彼女は集まった世界のリーダーたちに向かって「あなた方は科学を理解していると言うが、私は信じられない。科学を理解した上で今のような行為を続けているとしたら、あなた方は悪魔だ。私は信じない」というような意味のことをぶつけたのだ。それを聞いて私は「すごい!」と思った。率直に彼女はすごいと思った。「小さい子どもがそれらを導く」という聖書の一節が私の心の中で何度も思い起こされた。歴史を振り返っても、道義の上に立った社会運動が若い世代の参画によって転換点を迎えたことは、何度もある。「若者に希望を求めないで」と言い放つ彼女に、私は希望を感じる。彼女のような若い世代が私に希望を与えてくれるのだ。

ー最後の質問です。本題から逸れますが、最近ラルフ・ネーダーが、2000年の大統領選に立候補したことを20年経った今なお非難する人がいる、と述べていました。あなたとしては決着したのでしょうか?

ウィンストン・チャーチルの有名な言葉に、「米国人の行いはいつも正しい。ただしその前に全ての選択肢をやり尽くす」というのがある。2007年に私がワシントンDCの書店で自著『The Assault on Reason』の出版記念サイン会を開いた時、ネーダーが会場にやって来た。サインを求める人の列に並んだ彼の姿を見て、私は嬉しかった。わだかまりを引きずっていても良いことはないさ。




Translated by Smokva Tokyo

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