アル・ゴアが考える気候変動問題「絶望している場合ではない」

「絶望している場合ではない、と皆さんに言いたい」とアル・ゴアは、気候変動問題への感情的な反応に警鐘を鳴らす。(Photo by Craig Barritt/Getty Images)



「多かれ少なかれ感情的な問題に行き当たるのが現実」

ー気候変動問題は、「気温が1.5度上昇する前に何年以内に何をしなければならない」といったデータ上の議論になりがちです。さらに今は人々が衝撃を受けるような感情的問題になっています。現在の状況をどうお考えですか?

もちろん、私はもっといろいろなケースを見てきた。どんな問題もある程度は感情的な要素を含むものだ。私たちが判断を下す正確なプロセスについては、心理学者に聞けばいい。しかし、そう多くはないものの、最低限度の数字が上がっていくことに絶望感を抱く場合もある。そして、絶望感が問題の拒否反応につながることも多い。それが現実なのだ。

ーあなたは問題の感情的な面にどう対処していますか?

絶望している場合ではない、と皆さんに言いたい。つまり、持続的に気候変動問題に取り組む者は誰でも、多かれ少なかれ感情的な問題に行き当たるのが現実だ。私の場合は特に問題にはならなかったが、避けて通れない問題と言える。

ーあなたはこれまでに、気候変動問題によって家や生活手段を失った人々に出会ってきたと思います。

もちろん。地元のナッシュビルでは、大洪水の被害から10年が経とうとしている。周辺では数千人が家や仕事を失った。この地域ではかつて洪水など経験したことがないため、誰も保険に加入していなかった。尋常な状況でなかったと思う。私の家からわずか数ブロック先でお年寄りの夫婦が亡くなった。彼らは道に押し流されてしまったんだ。

ー2050年までに温室効果ガスの排出量をゼロにするというシナリオは現実的だと思いますか?

オフセット(排出量と削減努力との相殺)を適用すれば、実質ゼロは確実に実現できると思う。間違いない。あるマサチューセッツ工科大学のエコノミストは「物事が完了するまでには予め期待しているよりも長い時間がかかるもの。一方で実際には、設定された期限よりも早く仕上がるものだ」と言う。私はこの言葉がお気に入りで、よく引用する。再生可能エネルギーへの移行をはじめ、超効率化、電気自動車、サーキュラー・エコノミー(循環経済)、再生可能農業、排出量ゼロ(ゼロ・エミッション)の建物など、全て実現可能性が高いと思う。さらに私たちは、リソースの大きな変化、つまりコミットメントの大きな展開も目前にしている。私はきっと実現すると信じている。

ー私は大統領選の民主党候補の取材で、ニューハンプシャー州に短期滞在しました。気候変動問題に関して、彼らの主張はどうだったでしょうか。候補者の多くはスピーチの最重要トピックか二番目の課題として取り上げていました。

現在残っている候補者にはとても感銘を受けている。「ああ、何ということだ」などという言葉が流行っているが、そうは感じない。優秀な候補者が多いと思う。実質的に全ての候補者が気候変動問題を最重要事項のひとつとして取り上げていることに、私は感動している。しかも一番か二番目のトピックに挙げている候補者もいるのだ。この状況は驚くべきことでもない。選挙を見ても、民主党支持者が気候変動問題を重要視していることは明らかだ。だから当然、候補者たちも有権者からのメッセージを受け止めようとしている。しかし候補者たちの多くは、それ以上に印象的で包括的なプランを提示しているのだ。

Translated by Smokva Tokyo

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