Interscope RecordsのCEO、ジョン・ジャニックが語る仕事の極意

「この会社を運営しているという事実がいかに奇跡的なことか、毎日自分に言い聞かせるようにしています」

ー極端に忙しい日はどういったことに追われますか?

残念なことに、ほとんど毎日が極端に忙しい日ですね。朝の9時半から夜7時まで、私は大抵電話に出ているかミーティングに出席しています。今手元の手帳を見ているんですが、予定がぎっしり詰まっています。今は会社の向かいにスタジオを作ろうとしていて、それに多くの時間を割いています。先日はうちの所属アーティストの楽曲使用を検討している2時間の映画の試写会に出席し、その後ドキュメンタリー映画との関わり方について話し合うミーティングを開きました。終業後は何かしらのコンサートに行くか、ディナーに出かけることが多いですね。私の自宅はそういうロサンゼルスの繁華街とは真逆の方角にあるので、夜出かける時は一旦帰宅して、30分だけでも子供たちと接するよう努めています。

ドクター・ドレーやエミネム、ノー・ダウト、ナイン・インチ・ネイルズ等を聴いて育った私はInterscopeのロゴを見慣れていたので、自分がそういったアーティストを抱える会社を運営しているという事実がいかに奇跡的なことか、毎日自分に言い聞かせるようにしています。グウェン・ステファニーとスタジオで会った直後に、ベガスに飛んでレディー・ガガの新曲を聴いたりするたびに、自分が彼らと仕事をしていることが信じられなくなるくらいです。

ー新しい音楽がとめどなく溢れ出てくる現状に、あなたはどう対処されていますか?仕事以外の場では、どういった手段で情報をチェックしていますか?

Instagram、Spotify、Apple、うちの所属アーティスト関連のタグは毎日チェックしていて、あとはYoutubeやTikTokで流行しているビデオにも目を通すようにしています。その度に無数のコンテンツが見つかって、底なし沼に入っていくような気分になりますね。口コミで新しいアーティストのことを知ったり、同業者から新たなシーンについて聞かされたりする以外に、私は一日中InstagramやYouTube、TikTokのコンテンツをチェックしています。

ー音楽業界でキャリアを築く上で、最も有益だったアドバイスは? またそのアドバイスは、今日の業界においても有効だと思いますか?

最も有益だったアドバイスは「我慢すること」ですね。私は過去にも自分の会社を経営していましたが、常に迅速に行動し、ほんの少しの間でも立ち止まってはならないと感じていました。それは今も同じで、起業家精神を持ち続けることは重要だと考える一方、私はより大きなヴィジョンを持つ方法について学びました。私がInterscopeに来てから7年半になるのですが、このような偉大な歴史を持つ会社でも、その間に様々な変化を迫られてきました。しかし音楽業界では、一夜のうちにそういった変化を遂げることはできません。なぜなら我々の仕事はアーティストを発掘し、時間をかけて彼らを育てていくことであり、その過程を急いではならないからです。私はそういった変化に対処するためにこの会社に迎えられましたが、私はアーティストや従業員たちに対しても責任を負っています。私は周囲の雑音をシャットアウトしつつ、来るべき時が来るまで辛抱し続けることの大切さを学びました。Interscopeがその核である部分を失うことなく2020年を迎えたことを、私はとても誇りに感じています。我慢しろというアドバイスは、今も昔も変わらず有効だと思います。

Translated by Masaaki Yoshida

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