リーガルリリー、言葉とメロディが生み出す「魔法」の秘密

マイブラとの出会いを経てのサウンド・プロダクション

─他に好きなシューゲイザー・バンドはいますか?

たかはし:私、「シューゲイザー」の正確な定義がわかってないかも知れないんですけど……ピンク・フロイドとかソニック・ユースはどうですか?

─どちらもシューゲイザーより前に登場したバンドですが、確実にシューゲイザーに影響は与えていると思います。

たかはし:じゃあ、シガーロスやジーザス&メリーチェインはどうでしょう(笑)。「ハナヒカリ」は、ジザメリの影響が結構あったと思うんです。

─なるほど。ギターもかなり重ねていますよね。奥行き感や広がり感も以前より増した気がします。個人的にはリーガルリリーのコード感からはピクシーズを、ギターの音色からはコクトー・ツインズを連想したのですが。

たかはし:ああ、両方とも影響受けていますね。あとは、ビョーク、ペイヴメント、デス・キャブ・フォー・キューティーとか。ブラーの『13』もよく聴きました。

─サウンド・プロダクションも今までとはかなり違うのでは?

たかはし:違いますね。メジャーデビューしてから音にこだわる時間も増えて、エンジニアの采原史明さん(凛として時雨やクリープハイプ、きのこ帝国)に色々相談しながら音作りをしていきました。今までで最も「自分が出したかった音」に近づけたと思います。エフェクターも今まではファズとリヴァーブ、ディレイ、コーラスの4つしか使ってなかったのを、今回はファズもいろんな種類を試してみたりして。「こっちの方が音のヌケがいいから使ってみよう」みたいに、ファズの種類だけでも曲ごとに色々試してみました。

─今作で、個人的に特に好きなのは「GOLD TRAIN」なのですが、この曲はどうやって作ったのですか?

たかはし:元々はめちゃくちゃスロー・テンポの弾き語り曲を、テンポを上げてバンド・アレンジにしたらカッコ良さそうだなと思ったのですが、仕上がるまでに一番時間がかかりました。速くなると、なんていうか「普通の曲」になってしまうんですよ。コード進行もあまり変化しないから凡庸に聞こえてしまい、それなら最初のバージョン通りにゆっくりの曲にして、歌詞と雰囲気を聞かせた方がいいんじゃないかと思ってゆっくりにしてみたんですけど、それはちょっと「逃げ」なんじゃないかと(笑)。最終的には曲の途中でリズムを半分にしてみるなど、展開に緩急をつけたらカッコよくなったので良かったです。

─曲を作る時によく映像を思い浮かべるそうですが、この曲にはどんな映像が浮かんでいましたか?

たかはし:私は以前、川沿いに住んでいて、川へ行ってアコギで弾き語りをしていたんです。川の上には電車が渡る橋があり、夜になると漏れた光が川に移って、それが光の線のようになっていたのを見たときに「GOLD TRAIN」というタイトルが思いついて。その綺麗な光の線には、サラリーマンの「ため息」が充満していたり(笑)、これから好きな人に会いにいく誰かの「ワクワク」が詰まっていたり、いろんな感情が含まれているのは素敵だなと思ったことから曲作りが始まりました。



─この曲はミュージックビデオも最高ですよね。夕暮れ時の、ほんの束の間の美しい瞬間が見事に切り取られていて。

たかはし:いや、すごいですよね! ディレクターの中山佳香さんは私と年が近くて、途中で水たまりに映った私たちが反転するところ、すごくカッコよかったです。

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