リーガルリリー、言葉とメロディが生み出す「魔法」の秘密

「言葉」の中に感じる「絵」

─ほのかさんのお母さんは図書館のボランティアで子供たちに「読み聞かせ」をしていたそうですね。その影響もありますか?

たかはし:家にはたくさんの絵本があって、そういう環境で育ってきたので影響はあると思います。それに、今もたまに子供の頃に読んでいた絵本を読み返すことがあって。それまで気づかなかった魅力を新たに発見すると、自分の成長を感じますね(笑)。当時はダイレクトに心を動かされていたのが、今はシーンごとに自分のこれまでの人生をオーバーラップさせてしまうのでしょうね。生きていると、そんなふうに感動するポイントが変わってくるのは面白いなあって思います。

─ちなみに、大人になってから読んでも面白かった絵本というと?

たかはし:今ぱっと思いつくのは『どうぞのいす』。母親が何度も読んでくれていたので今も好きですね。小さい頃は絵柄の可愛さや、話の面白さに惹かれていただけだったのが、今読むと新しい魅力がどんどん出てきて。「まだまだ発見できそうだな」って思っている絵本なんです。子供の頃はまず「絵」に目が行きますけど、大人になるにつれて「言葉」の中に「絵」を感じるようになっていく気がします。

─絵本に書いてある文章は、ちょっとリズミカルで音楽的なものも多いですよね。

たかはし:そうなんです。母親が読み聞かせしてくれる時も、オノマトペの部分をリズミカルに読んでくれたのが、すごく楽しかった記憶があります。

─工藤千紘さんによる描き下ろしのジャケットも、何となく非現実的な、夢の中で出会った女性のような雰囲気が絵本っぽいなと。観る人の心の状態で、笑っているようにも悲しんでいるようにも、怒っているようにも見える気がします。

たかはし:実はこの絵、私たち3人の写真を合成して、それを基にして描いてくださったそうなんです

─そうだったんですか。

たかはし:子供のようでもあるし、大人でもあるようなタッチですよね。何歳なのか分からない感じも好きですし、目がとても印象的で吸い込まれるような魅力がありますよね。バンド名のリーガルリリーの「リリー」は一人の女性をイメージしているのですが、工藤さんだったら理想の「リリー」を描いてくださるんじゃないかなと思ってお願いしたんです。とても素敵に仕上げてくださって嬉しく思います。

─今作は、これまでのオルタナ色に加え、例えば「ベッドタウン」「GOLD TRAIN」「ハナヒカリ」などシューゲイザー〜ドリーム・ポップ的な要素が加わりました。以前のインタビューで、ほのかさんは「最近シューゲイザーを好きになった」とおっしゃっていましたよね?

たかはし:以前からシューゲイザーは聴いていたのですが、例えばマイ・ブラッディ・ヴァレンタインとかは最初はあまり良さが分からなかったんです。でも最近マイブラを聴いた時に、「音を映像化させるってこういうことなんだ」と気づいて。音に対して五感全てを研ぎ澄ます大切さを、マイブラに教えてもらったんですよね。

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