ルイ・トムリンソンが語る、ワン・ダイレクション後の人生と再出発

ルイ・トムリンソンは、ワン・ダイレクション後の人生とソロシングル「トゥー・オブ・アス」が「いままでの人生でもっとも誇らしい瞬間のひとつ」である理由を語った。(Photo by Ryan Saradjola)

「アイツらのことはマジで大好きだし、一緒に成し遂げたすべてを心から愛してる」とソロデビューアルバム『ウォールズ』のリリースとツアーを控えたルイ・トムリンソンが、ワン・ダイレクションについてローリングストーン誌に語ってくれた。

2015年の終わりにワン・ダイレクションが活動休止期間に入ると、誰もがルイ・トムリンソンはソロアーティストとして瞬く間にポップ界での成功を手に入れるだろうと思った。というのも、トムリンソンはワン・ダイレクションでもっとも人気の楽曲の多くに作曲者のひとりとして関わっていたのだから。だが、トムリンソンはいまになって動き出した。はやくも傑作と評価されている待望のソロデビューアルバム『ウォールズ』(日本では2月5日発売予定)は、待った甲斐があったと納得させられる仕上がりだ。「ここまで来るのに少し時間がかかった」とトムリンソンは声を出して笑いながら皮肉った。「だから、少しほっとしてるんだ。足踏みしなければいけない場面がいくつもあったからね」

ワン・ダイレクション時代のトムリンソンのトレードマークは、気取ったウィットと“生意気なルイ”と呼ばれた好戦的なビッグマウスだった。だが、この数年間でトムリンソンは大きな痛みを経験しなければならなかった。2016年に母親ががんで亡くなったのだ。2019年にトムリンソンは切ない追悼シングル「トゥー・オブ・アス」をリリースした。だが、そのわずか2週間後に一家はティーンエイジャーの妹が突然の死を遂げるという悲劇に襲われた。『ウォールズ』は個人の贖罪が色濃い一枚だが、そこには独創的な新境地を開こうとするポップアーティストならではのサウンドも感じられる。オアシス風のブリットポップギターが響く「キル・マイ・マインド」はそのひとつだ。初のソロツアーを控えたルイ・トムリンソンがツアー準備の合間にワン・ダイレクション後の人生、喪失との闘い、インディー野郎との確執、28歳になったこと、アーティストとしての再出発、ラジオで元メンバーの楽曲が流れた時の印象などを米ローリングストーン誌に語ってくれた。

ーニューアルバムの発売おめでとうございます。たくさんの想いと魂が込められた作品のようですね。

そうだね。なんとなくだけど、波に逆らってずっと泳いできたような気分だよ。「よし、自分ひとりで何かしてみよう」と思い切って踏み出した頃は、具体的に何をするか思いつくまでに少し時間がかかった。大抵の人は、初めてのことに取り組むときは、予め準備をしたり、いろんなことを試したりするよね。でも、僕の場合は世間の目というものが少なからずあったんだ。キツイと思ったこともあるよ。だから、心から誇れるアルバムができてほっとしてる。

ー世間の人は、もっと早くに何らかのヒットを出すと思っていました。時間をかけたのはなぜですか?

たしかに、手っ取り早くレコードを作ることはできただろうね。それも、よりトレンディなものをね。でも、僕の口から出てくるものに説得力があることがすごく大事だと思ったんだ。だから、僕にとって歌詞は本当に大切なんだよね。

ー「ノー・コントロール」や「ミッドナイト・メモリーズ」など、ワン・ダイレクション時代はいくつもの名曲を手がけましたね。ソロアーティストとしては、何か違ったことをしないといけないと思っていましたか?

ソロアーティストとしてのキャリアを歩み始めた当時は、スティーヴ・アオキとエレクトロニックな楽曲を作った。彼はマジでレジェンドだよね。ビービー・レクサともコラボしたな。彼女も最高にクールだ。でも、当時の楽曲を振り返って聴いてみても、本当の意味で自分を表現しているように思えないんだ。だから、自分の心の命ずるままに進めばいいって気づくのに少し時間がかかった。僕にはワン・ダイレクションのメンバーという貴重な経験がある。それに幸運にも、ワン・ダイレクションで数多くの成功を経験した。だから、数とか音楽チャートのランキングとかラジオとかにあまり気を取られずに「自分の心の命ずるままにやろう」って思ったんだ。そうすることでレコードがもっと説得力のあるものになればいいという期待を込めてね。

Translated by Shoko Natori

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