追悼コービー・ブライアント:NBA2年目、19歳当時の密着ルポ完全翻訳

ロサンゼルス・レイカーズの背番号8番コービー・ブライアント 1998年頃ロサンゼルスにて撮影 (Photo by Jon Soohoo/NBAE/Getty)


コービー・ブライアントは最近、将来の展望について友人たちに話すことが多くなった。15年くらいプレーして、その後はイタリアで暮らすことを考えているという。そこでは現在のような注目を浴びずに済むからだろう。「今はいろんな人が近づいてくるんだ」ブライアントはそう話す。「でも誰と付き合うか、誰に気を許すかを、僕は慎重に決めてるんだ」

「あいつはいつも女に囲まれてるよ。何しろやつはコービー・ブライアントだからね」Bannisterはそう話す。「まるで興味なしだけどね。だから俺がいつも追い払ってやってる。あいつは俺のことを『真実の人』って呼ぶんだ」

そのことを話すと、ブライアントは笑った。「随分前のことだけどね」彼はそう話す。「今は僕の姉がその役目を果たしてくれてる。僕が望む望まないに拘らずね」。ブライアントは再び笑った。「僕だって人間だから、楽しむことはあるよ。でも自分を安売りすることはしたくない。僕には達成したいことがたくさんあるからね」

マスタープラン、というわけだ。

昔からのルールに忠実に、ブライアントは日中はひたすらバスケに励み、夜はバスケ以外のことに惑わされないよう努めている。「シャックとはよく話すよ」彼はそう話す。「『いつか俺たちでここを仕切ろう』ってね」

しかし、すべて計画通りというわけではない。ブライアントは現在、レイカーズの6番手に甘んじている。主な理由はやはりデータだ。Harrisは1分間のプレーで、各選手がどれだけ頻繁にシュートを放っているかを記録している。ナンバーワンはオニール、2位はマイケル・ジョーダン、そして3位がブライアントだ。どのように計算しても、オニールとブライアントを一緒に長くコートにおいておくことはできない。ブライアントがパスを回さない限り。

「彼と私の考えが一致していないのは事実だ。私は彼にもっとボールを回させようとしているが、彼は自分1人で戦おうとしている」Harrisはそう話す。

問題はやはり、ブライアントが1人でも戦えてしまうということだ。彼は時々(あるいは頻繁に)、かつて誰も見たことがないようなプレーをやってのける。その一方で、いかにもセミプロのNCAAでの経験ゼロでNBAに入った子供として映ることもある。「世間がどう思っていようとも、私は決してコービーを押さえつけようとしているわけではない」Harrisはそう話す。「今のチームにとって、彼はスタメンには適していない。彼はマイケル・ジョーダンを目指す前に、コービー・ブライアントという才能を開花させなくてはならないんだ。その道のりはまだまだ長い」

しかしその考えは、彼を崇める14歳のNBAファンには理解されないだろう。ロサンゼルスのあらゆるスポーツ用品店において、ブライアントと同じ背番号8のレイカーズのジャージの売り上げは、オニールを含む全選手の中でトップだ。準備が整っていようといまいと、NBAはコービー・ブライアントを21世紀のスターに選んだのだ。

ショッピングモールで彼と過ごした日のことが思い出される。別れ際になって、ブライアントはシナモンプレッツェルの売店の前で立ち止まり、筆者にも食べてみるよう勧めた。プレッツェルを片手にエスカレーターに乗った彼は、「これマジで美味くない?やめられないんだよね」と、キャンディショップを訪れた子供のように無邪気に話す。その直後、彼は人懐っこそうな笑顔を浮かべ、その大きな手を広げてハグをすると、億単位の金を稼ぐ一流アスリートに相応しいBMWに乗り込んだと思いきや、エンジンを吹かせてあっという間に去っていった。目を離したすきにいなくなる子供のように。

Translated by Masaaki Yoshida

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