クイーン+アダム・ランバート来日公演 あらゆる世代のファンを魅了した「伝説の続き」

とにかくブライアンもロジャーも元気だ。ロジャーは自作曲「アイム・イン・ラヴ・ウィズ・マイ・カー」を披露したが、独特の高音ヴォーカルは健在、ドラミングにはほどよい重量感があってタイト。サングラスを外して女性ファンの「キャーッ!」を楽しむ余裕を見せるあたりが、なんともご愛嬌。ブライアンは、中盤にアコースティック・パートと、終盤にコズミック・パート(壮大な宇宙をイメージしたようなセットや照明、演奏)とでも呼びたくなるソロ演奏コーナーで観客を魅了。個人的には「イラッシャイマセ〜!!」で始まったMCからのアコースティック・パートにかなりグッときた。自分が若い頃には好きになれなかった「手をとりあって」(洋楽に日本語歌詞が入っているのが嫌だった)で、一緒に歌える喜びを素直に感じられたのが我ながら驚きだった。「ラヴ・オブ・マイ・ライフ」では、前回の武道館公演同様、フレディ・マーキュリーの映像とのコラボもあり、私の後ろの席の方も感極まっていたご様子。しかもその次に演奏されたのが「’39」ときた! ブライアンはこの曲を「スペースマンの曲」と紹介したけれど、そんな一言で簡単に語れる曲じゃないことはファンのみなさん周知の通り。地球と宇宙、時空を超えて存在する愛し合う者同士は、さしずめこの世にいるブライアンと、この世にはいないフレディ!?ともとれそうだ(深読みしすぎか!?)。

ロジャーがデヴィッド・ボウイ、アダムがフレディのパートをそれぞれ受け持つ「アンダー・プレッシャー」では、ふたりが掛け合いを楽しんでいる様子がなんとも微笑ましい。メンバー紹介を挟んで「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」、「ブレイク・フリー(自由への旅立ち)」と続き、大空に雲が流れるような照明の演出が場内を包み込んだ。色とりどりの光線が駆け巡った「リヴ・フォーエヴァー」のスペクタクル感溢れるレーザー・ショウも圧巻だった。




Photo by Teppei Kishida

前述したブライアン博士のコズミック・パートが終わると「タイ・ユア・マザー・ダウン」、「ショウ・マスト・ゴー・オン」、「RADIO GAGA」、そして本編ラストの「ボヘミアン・ラプソディ」に突入。「ボヘミアン・ラプソディ」の壮麗なコーラスワーク部分では同曲のPVを同期させた演出が効果的だ。

アンコールの最初には、フレディ(映像)との「イェーオ!!」のコール&レスポンスも実現し、最後は「ウィ・ウィル・ロック・ユー」、「伝説のチャンピオン」で大団円。「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」をBGMに観客に向けて挨拶を繰り返すメンバーを遠くに見ながら、改めてブライアンとロジャーのパワフルなパフォーマンスは見事であったとしみじみ思っていた。そしてそのパフォーマンスを引き出しているのは、他でもないアダム・ランバートなのだということも考えずにはいられなかった。

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