伊藤万理華の初期衝動、「まりっか」から裸の自分へ

作品づくりは命がけでやるもの

―漫画も強烈な内容です。

私がずっと好きだった椎名うみさんという漫画家さんに描いていただきました。会って話し合って(椎名さんに私のことを)知ってもらった上で「何か作品にできないですか」っていうのを伝えて、こういう形に。この漫画を元にした映像も作ったんですよ。全くの実写ではなく、監督が柳沢翔さんなんですけど、柳沢さんがこの漫画を読んだときにどういう風にインスパイアされて、漫画とは違う物語にするのか、またはそのままやるのかが見てみたかった。映像や漫画に限らず、ファッションもそうですけど、今回の個展はクリエイターさんに委ねたので、その点はけっこう大きいです。

前回は、自分から率先して私服や私物を持ってきて展示物を作って、自分でアートディレクションもして。あとは(乃木坂46の)メンバーの写真も撮ったりしました。でも今回は自分のテーマに沿って、クリエイターの皆さんが何を作るのかっていう新しい試みだったんです。そういうのをいろんなジャンルでやって、それらが同じ空間にあったときにどう感じるのか。その結果、一人になってからの1年半の自分を昇華できるかなと。

―なるほど。

関わってるファッションデザイナーさんやクリエイターの皆さんと対面して何度も何度も打ち合わせして、前回は怒涛のスケジュールだったんですけど、今回は時間をかけて距離を詰めていって出来上がった作品です。

最初に個展をやりたいと思ったきっかけが椎名さんで。椎名さんに会っていろいろ話をしたときに、「椎名さんと柳沢さんと3人で何かやれたら絶対にすごい新しいことができそうだな」と思ったんです。「漫画を作ってそれを実写化したいんです」って話をPARCOの方にして、そこからテーマを決めていって。お母さんと一緒に作ったドレスとこの漫画が、今回の個展では軸になってます。


Photo by Shun Komiyama

―前回より時間があったとはいえ、いろいろ同時進行で進めてたわけですよね。女優として舞台のお仕事もある。そういう点でも大変だったと思うんですけど、実際どうでしたか?

本当に大変でした。個展の制作中に舞台が二回あったんですよ。だからキャパオーバーしちゃったときもあって。でも、それくらい追い込まれた方がいいのかなと思ったり。前回の個展もそうだし、写真集を作ったときもそうだったんですけど、私は自分をかなり追い込んでからじゃないとできないタイプで……。よく「作品をストックしておけば?」とか言われるんですけど、自分の初期衝動で一気にやらないと作品じゃないというか、私の言いたいことが伝わらない気がするし、それくらい命がけでやるものだと思っていて。だから大変でしたね(笑)。その一方で、すごく充実してたっていうのはあります。

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