米陸軍vs海軍のアメフトで「OK」のハンドサインを出した訓練生が大問題に

米国陸軍士官学校は、訓練生らはフットボールの試合中にサークルゲームをやっていただけで、ホワイトパワーを表現していたわけではないと判断(Photo by Matt Rourke/AP/Shutterstock)

昨年12月初め、米陸軍対海軍のアメリカンフットボールの試合で一部の陸軍士官学校と海軍兵学校の訓練生がOKサインをしていたのを、ESPNの番組司会者が試合中継中に報じた。映像はたちまちソーシャルメディア上で拡散され、陸軍学校と海軍学校はいずれも調査を行なうことを発表した。

近年、OKサインに似たハンドサインが白人至上主義のシンボルとして使用され、米国内で問題になっている。
陸軍士官学校は声明を発表し、このように述べた。「士官候補生たちは、今日ティーンエイジャーの間でよく見られる遊び、いわゆる“サークルゲーム”をやっていただけで、陸軍の価値観に反する思想や活動に関するような意図は全くありませんでした」 サークルゲームのルールは、こっそり“OK”のサインを送って友人の関心を惹き、相手がこちらを見た場合は罰として腕を叩く、というのが一般的だ。

「我々は今回の事件を徹底的に調査いたしました」と言うのは、米国陸軍士官学校の校長を務めるダリル・A・ウィリアムズ中将。「我々はこれらの行為がたわいもないゲームであり、過激主義との関連性はないとの結論に至りました。しかしながら、今回のようなご指摘は真摯に受け止めねばなりません。士官候補生たちの未熟な振る舞いを大変遺憾に思います」

訓練生たちはESPNの司会者が番組コーナーのために観客席に到着する前からサークルゲームを行なっていたことが調査によって判明した。陸軍学校は、こうしたジェスチャーを攻撃的とは見なさないものの、訓練生に対しては「適切な教育指導及び/または懲罰措置を講じる」と述べた。

しかし、サークルゲームをしたことがある人たちがTwitterで指摘している通り、腰の下でサインを送るのがこのゲームの重要なポイントであるが、士官候補生たちはあまり気にしていないように見える。

「我が国の陸軍では、人種差別的な言動やジェスチャー、シンボルは絶対に許されません」と、陸軍参謀長のジェームズ・C・マッコンヴィル大将が声明の中で述べた。「調査の結果、士官候補生たちに人種差別的な意図はなかったという結論に達しました。アメリカ国民は、我が軍の兵士たちが正しい行いを全うすると信頼を寄せています。我々はそうした信頼を揺らがせるような行為に注意を払い、国民がアメリカ兵士に求める高い倫理基準や職業規範を満たすべく行動するよう、努めていかねばなりません」
名誉毀損防止同盟(ADL)によると、“OK”サインが白人至上主義者の間で頻繁に使われるようになったのは2017年頃。一説によると、OKサインはホワイトパワー(White Power)の頭文字を表している、というデマが4chanで流れたのがきっかけだったが、やがて白人至上主義者が本気にして、実際に採用するようになったという。とはいえ、ADLも指摘しているように、OKサインは今でも圧倒的に「同意や承認を示すジェスチャー」であるため、その都度動機を検証していくことが重要だ。

Translated by Akiko Kato

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