最後に少しリズム隊の話をします。演奏しているのはご存知ハル・ブレインとご存知ジョー・オズボーンです。実にシンプルかつ気の利いた演奏です。スネアを使わずに強めのハットをバックビートの代わりにしているのがまたすごい。スネアが入っていたら「Close To You」の持つ浮遊感がやや減って、腰が据わった感じになったのではないかと思います。
今回の「モヤモヤリズム考 -パンツの中の蟻を探して」はメロディの素晴らしさを引き出すリズムについてのお話でした。現在のポップスの制作においては、トラックありきでメロディを考えるのが一般的かと思います。そうした状況を踏まえると、「Close To You」がヒットに至るまでの話がなかなか味わい深く感じられるのではないでしょうか。