チャールズ・マンソンの遺灰マスク、ファンやコレクターの間で物議を醸す

1969年のシャロン・テート/ラ・ビアンカ夫妻殺害事件に関し、第1級殺人および殺人未遂で有罪判決を受けたチャールズ・マンソン(Photo by AP/Shutterstock)

悪名高きカルト集団指導者のアート作品は今に始まったものではない――だが、遺灰まで含めるのはやり過ぎだという声も。

彼の死から2年、そして彼が指揮した非道な殺人事件から50年が経った今もなお、チャールズ・マンソンは一方で人々を魅了し、また一方で人々を震撼させている。今回は、彼の顔をかたどった2体のマスクという形で現れた。マスクには人間の血液と殺人鬼本人の遺灰が含まれているという。

一風変わったこの作品は、アーティストのライアン・オールマイティ氏とマスク職人“シク・リック”ことリック・フィッシャー氏のコラボレーションによるもの。マンソン関連のアイテムは何かと物議を醸すものだが、とくに今回に関してはかつてないほど怒りの声が上がっている。

「山のように脅迫状を受け取りました」と、オールマイティ氏はローリングストーン誌に語った。「実際にマンソンの熱烈なファンからも、猛反発を受けました」。本人曰く、遺灰を使うのは不謹慎だと言うマンソン・ファンの怒りを買っただけでなく、プロジェクトそのものが不気味で悪趣味だという「迷信深い」人々からも非難されているという。「微妙な話題ですよね」と彼は説明する。「50年前に起きた事件です。それに事実やフィクションも含め、いろんな話がついて回っていますからね」

だが、マンソンの遺灰や人間の血液を使った作品はこれが初めてではない。2018年、オールマイティ氏はこの型破りな画材で絵画作品を制作し、トラベル・チャンネルの超常現象解明番組『Ghost Adventures(原題)』の司会をつとめるザック・バガンズ氏に買ってもらった――作品は現在バガンズ氏が経営するラスベガスの幽霊博物館に展示されている。この出来事はそれなりに話題になったが、故マンソンのマスクはさらに大きな波紋を呼んだ。いったいマスクの何が一線を越えたのだろう? 単に新手のメメント・モリ――死を悼み、また自分たちも死を免れないことを警告するオブジェ――ではないのか? それとも、度を越した殺人関連コレクターズグッズなのか? その答えは、誰に問いかけるかによって変わってくる。

オールマイティ氏とマンソンの関係は1990年代にさかのぼる。この当時彼は、凄腕殺人鬼のサインがeBayに出品されれば、100ドル相当の値が付くことを知った。「マンソンとつながるのは非常に難しい、という話は聞いていました。彼は月に何百通――何千通――もの手紙を受け取っていましたし、それに彼は失読症で、そのうえ初等教育しか受けていませんでしたからね」とオールマイティ氏は説明する。「彼は言語があまり得意でなく、ビジュアル寄りの人間だった。それで僕は彼の肖像画を描いて、彼に送ったんです。その後彼に手紙を書いたら、一発で返事をくれました。後でわかったことですが、そんなことは今までなかったそうです」

Translated by Akiko Kato

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