INORANとスティーヴ・リリーホワイトが語る、LUNA SEAの「多様性」と「バンド力学」

左からINORAN、スティーヴ・リリーホワイト(Photo by Azusa Takada)



INORANがスティーヴに期待したこととは?

―なるほど。そこで2人にお聞きしたいのが、INORANさんはスティーヴさんにどんなことをプロデューサーとして期待をしたのか? 一方のスティーヴさんは今まで日本人アーティストのプロデューサーをしたことがない中で、LUNA SEAというバンドをどういう風に捉えてどんなことを自分だったらできると思ったか、それぞれお聞かせください。

INORAN:シンプルに音楽って人と作るものであって、そういう人としての科学反応、5人でLUNA SEAの中の化学反応を見てみたかったというか。ある意味メンバーがみんなそれぞれ頑固な部分があって、自分のスタイルももうある程度確立して、それぞれの音色を持ってるわけで。それに対していい意味で壊してほしかったですね。


Photo by Azusa Takada

スティーヴ:僕ができると思ったことは2点あった。1つは“スティーヴがプロデューサーなんだ”っていう意識がバンドの中にあるとバンド自身のレベルがアップする。スティーヴを唸らせてやりたいとかスティーヴにすごいって思わせたいってことでさらに自分たちのレベルを上げてより良くしようっていう、結果的にそういう気持ちを持たせることができたと思ってるんだ。

INORAN:俺たちレベル上がったかな?

スティーヴ:答えはもちろんイエスだよ! そして2つ目は、バンドがよりクリエイティヴになれた。というのは、今まではバンドがクリエイティヴな面とプロデューサーの仕事も両方しなきゃいけなかった。今回はプロデューサーの仕事を全部僕が請け負ったことによって、バンドはクリエイティヴなことに集中ができて、アーティストとしてより成長をすることができた。だからいわば僕は安全ネットみたいな役割を果たした。それでメンバーをインスパイアさせることができたと思う。ミーティングをみんなでやった時も、僕がいろいろと提案するとみんな「ああ、なるほどね」って思ってくれた。そうやって深く交じり合いながら成長出来たと思ってる。それと、このアルバムはすごく若くてフレッシュな感じになったと思うな。

INORAN:うん、10歳はみんな若くなったね!

スティーヴ:じゃあ60になったということかい(笑)?

―(笑)今スティーヴさんがメンバーはクリエイティブに集中してもらえたんじゃないかと言っていましたが、INORANさん自身どんな変化がありましたか?

INORAN:ものすごくクリアな自分を映し出す大きな鏡が増えたなぁって感じながらレコーディングをやってましたね。自分を正直に映し出してくれるもの。それはストレートな言葉ではなくて、オブラートに包んでるわけではなくて、的確な姿を映してくれたんで、より高められた……そういう気がします。

スティーヴ:LUNA SEAの場合はメインソングライターが3人いる。INORAN、J、SUGIZO、その3人、それぞれスタイルが違う。INORANはインディーロック、Jはアメリカンロック、SUGIZOはプロブレッシヴ。同じロックでもみんな違う。どれも僕は好きだし、しかもどのスタイルのバンドもこれまで僕は手掛けてきた。それがLUNA SEAには全部入ってるんで、僕としても非常に満足のいく充足感のある仕事だったよ。やっぱりそういったところが僕のバンドが好きな所以でね。ソロだと一人のスタイルだからね。でもバンドだとこうやっていろんなスタイルが混ざってより幅広い視野で音楽ができるんで、そこが好きだし、それを今回は十分に味わえたよ。

INORAN:で、実際、誰の曲が好きなの?(笑)

スティーヴ:ん(笑)? えーと……まずはレコーディングのことを話させて(笑)。SUGIZOのことを僕は「Mr.ディテール」と呼んでいたんだ。本当に細かいことまでこだわる人。SUGIZOのファイルは整理整頓がされていたね。INORANのファイルはぐちゃぐちゃ(笑)。SUGIZOの逆。INORANのファイルはごちゃごちゃしてるんだけどハートがあった。僕はそれを選り分ける作業がすごく楽しくかったよ。これはいらないなっていうものもあったけれども、でもこれはすごくいいっていうものもあって。だからそういう最高のものを選んで形づくっていくのがINORANの曲だった。で、INORANの曲もSUGIZOの曲も良くて、ただフー・ファイターズが僕はあんまり好きじゃないってことなんですけど、でもJの曲は本当にキャッチーでポップでこれはまたこれですごくよかった。だから今聴き返してみても甲乙つけがたいなというとこが正直なところだよ。

INORAN:で、本当は誰の曲が(笑)?

スティーヴ:本当のことを言ってます(笑)。本当に全部好きなんだ。Jの「Closer」もすごくいい曲だし、SUGIZOの曲もいいし。昨日も車の中で全曲聴いたけど、本当にどれもいい曲ばっかりだよ!

―LUNA SEAサイドとしては、楽曲のセレクトはスティーヴさんの意見で結構変えたんですか?

INORAN:何曲かあったのをこれは次回に取っておこうとかはありましたね。だから曲選びはアルバムのバランスを考えて、みんなで話はしました。

スティーヴ:INORANが言ったように、曲のテンポのバランスを考えてこの選曲になった。なので、収録されなかった曲が悪いからとかそういうことではまったくないですよ。

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