クリープハイプ「愛す」を金原ひとみが考察

クリープハイプ(Courtesy of UNIVERSAL MUSIC JAPAN)



「愛」という言葉に含まれる意味

日本の古語においては、「かなし」という言葉に「愛(かな)し」と漢字をあてがった。「かなし」とは、人をかわいいと思う気持ち、守りたいと思う気持ちであり、現代で認識されているキリスト教的な「愛」とはかなり違う。

昨今、私たちの日常には「愛」という言葉が溢れているが、アメリカ映画でよく見る、自信に満ちた顔で発される “I love you.” という言葉に一抹の違和感を抱くのは日本語の「愛」という言葉に含まれる意味が多種多様、雑多であり、西洋のそれとは異なるからだろう。日本に於ける「愛」とは、西洋から輸入された博愛、慈愛的なものとは一線を画する、例えばねじれを元に戻してあげたい気持ち、つまり「かなし」に近い、より衝動的な「愛」なのではないだろうか。だからこそ、私たちは「愛す」を聴き、キリスト教的な外部に開いた「Love」ではなく、泥臭く回りくどく、閉じた「愛」を実感することができるのではないだろうか。口に出された「愛」よりも、口に出されなかった「愛」の方が人の心に残るように、「愛す」は記号として多くの人に共有されている「愛」ではなく、ねじれを直したいと願う、永遠ではないかもしれないけれどその刹那には確実に湧き上がった身体的衝動としての「愛」を聴く者に刻みつけていく。



AC部が制作した「愛す」のMVには、クリープハイプが提示した愛の再定義に対し、さらに巨大な風船を投げ込み膨らまし破裂させるような、言語の拡張への意志が感じられる。チーズエネルギーの意味するところは、何かを表現するエネルギーで、それを取り戻す原動力となったのが愛の力だったのだろうかと、ループものとも捉えられるMVを見ながら思うが、厳密な答えは一向に見当たらない。疑問、懐疑、再考、逡巡、微かに仄見える本質らしきもの、四分強でこれだけのものを与えてくれる「愛す」という曲は、言葉という不確かな、誰かがあてがったそれらしき記号を頼りに生きていく他ない私たちを揺さぶりながら、間違いを装った正解に少しずつ導いてくれている気がしてならない。





【CDシングル】
『愛す』
クリープハイプ
発売日:2020年1月22日

初回限定盤


通常盤
 

<CD収録曲>
1. 愛す
2. キケンナアソビ

<初回限定盤DVD「2019年11月16日」収録曲>

けだものだもの
グレーマンのせいにする
ボーイズENDガールズ
クリープ
5%
イノチミジカシコイセヨオトメ
私を束ねて
身も蓋もない水槽
二十九、三十

<封入先行>
10周年全国ツアー「僕の喜びの8割以上は僕の悲しみの8割以上は僕の苦しみの8割以上はやっぱりクリープハイプで出来てた」スペシャル
 ※一般発売前最後のチケット抽選先行予約シリアルナンバーが封入。応募受付期間は、1月21日(火)~1月26日(日)23時59分まで。



「愛す(チプルソ Remix)」
1月10日配信
各種配信サイト
https://creephyp.lnk.to/busu_tipleso


2020年3月15日(日)幕張メッセ国際展示場
オールスタンディング/ブロック指定¥6,300

2020年3月22日(日)大阪城ホール
全席指定 ¥6,300
https://www.creephyp.com/

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