2019年の全米アルバム1位最長記録を更新中!ポスト・マローンが「新時代型ポップスターである理由」とは?

ポスト・マローン(Photo by Nick Karp for Rolling Stone)

音楽評論家・田中宗一郎と映画・音楽ジャーナリストの宇野維正が旬なポップカルチャーの話題を縦横無尽に語りまくる、音楽カルチャー誌「Rolling Stone Japan」の人気連載「POP RULES THE WORLD」。

2019年9月25日発売号の対談では、ニュー・アルバム『ハリウッズ・ブリーディング』が5週に渡って全米1位を獲得し、2019年の全米アルバム1位最長記録を更新しているポスト・マローンに注目。彼がビリー・アイリッシュと並ぶ新時代のポップスターである理由を解説している。

まずアルバムから先行リリースされたシングル「グッバイズ」について、田中は「この曲はラップ・ソングじゃなくて、ロッカ・バラッドなんだ」と位置付けた上で、このように説明している。

田中:この曲、構成が1ループのビートじゃなくて、AB形式になってるんですよ。坂本九の「上を向いて歩こう」とか、ビートルズの「オー・ダーリン」と同じ構成。それがとにかく興味深くて。コード進行もラナ・デル・レイの前作と同じく、III7とか、IVmみたいな50年代風のコードをスパイスに使ってて。しかも、Bのパートに移ると、コードの展開が半分の長さになるっていう。4年ぶりくらいにギター取りだして、耳コピしたもん(笑)。もう完全なポップ・ソング。


Post Malone - Goodbyes ft. Young Thug



こうした田中の発言を受け、宇野はポスト・マローンは純粋なヒップホップというよりは、ビリー・アイリッシュと同じような新世代のポスト・ジャンルのアーティストなのだと位置づけている。

宇野:もはやポスト・マローンはヒップホップではないってことですよね。別な見方をするなら、ポスト・ジャンル宣言でもありますよね。去年の今ごろ、タナソーさんがビリー・アイリッシュを語る際に使ってた言葉ですけど。もちろん彼をロック・アーティストだって風に見立てる視点もわからなくはないんだけど、実際のところは、もはやポップがすべてを飲み込んだ証拠というか。だから、いまだに「ラップか? ロックか?」みたいな二項対立的な問いの立て方をしてるのか、と。もはやそんな問題意識そのものが時代遅れだってことをポスティ(ポスト・マローンの愛称)のアルバムは証明したと思うんですよね。

田中:それは同意。だから、ポスティは2020年代型ポップ・アーティストなんだよね。

本誌での2人の会話は、ポスト・マローンのリリックの非ヒップホップ性や、彼がセンチメンタリズムというフィーリングを復権させたこと、さらにはオアシスとの共通点などにまで及んでいる。

Edited by The Sign Magazine

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