田中宗一郎がテイラー・スウィフト新作を考察、「テイラーは西野カナ化した?」

Photo by Kevin Winter/Getty Images For dcp

音楽評論家・田中宗一郎と映画・音楽ジャーナリストの宇野維正が旬なポップカルチャーの話題を縦横無尽に語りまくる、音楽カルチャー誌「Rolling Stone Japan」の人気連載「POP RULES THE WORLD」。

2019年9月25日発売号の対談では、テイラー・スウィフトのニューアルバム『ラヴァー』について田中宗一郎が考察している。

このアルバムは発売初週に86万7000枚相当のセールスを叩き出し、早くも2019年アメリカのアルバム売上トップに立ったが、批評筋からの評価は賛否両論。2012年に『レッド』がリリースされたときは日本でいち早く絶賛していた田中も、『ラヴァー』についてはこのような見解を語っている。



田中:サウンド的にはまるでここ数年の出来事がまったくなかったかのようなレコードで。2012年の『レッド』の時代に戻ったかのような純然たるポップ・アルバム。もちろん、サウンド的には更新されてはいるんだけど、今年のコーチェラでアリアナ・グランデのステージを観た時の感慨にも似てて。「そもそもゼロ年代前半のブリトニー・スピアーズの「トキシック」以前のポップって、サウンド的には冒険性皆無で、チージーなものだったよね」みたいな。

そして、「3年くらい前までは、みんな言いたいことがすごいあったわけじゃないですか。それがビシビシ伝わってきていたのに、えらい変わりましたよね」という宇野の発言を受け、田中はテイラーが「西野カナ化」したと例えている。

田中:一時期の西野カナがすっかりテイラー・スウィフト化していたけど、今はテイラー・スウィフトがすっかり西野カナ化したような気分。ちょっとショック。まあ、前作のトラウマがそれだけ大きかったってことなんだろうけど。タイトルにしたって、『ラヴァー』だもん(笑)。

本誌での2人の会話は、2019年は新しい価値観の提示が無い「凪の時代」であること、リル・ナズ・Xが全米1位の史上最長記録の樹立したこと、さらにはストリーミング時代のヒットの在り方にまで及んでいく。

Edited by The Sign Magazine

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