山本彩、音楽と真正面から向き合った2019年を振り返る

アーティスト=山本彩の挑戦

―この1年で山本彩というアーティストは世の中にどう受け入れられたと思いますか。

うーん、まだ0から1の間をさまよってる感じかなって。この1年は、実際にどんな音楽をやっているかまでは伝えきれてないけど、音楽をやりたい人なんだっていうことを知ってもらえるところまではいけたと思うので、2年目以降は、自分の音楽をしっかり人々の心に残していけるかどうかが大事になってくると思います。

―1年前に自分で思い描いていた理想から考えて、今の自分にどれぐらいの点数をあげられそうですか。

正直、まだまだなので点数はあげられないですね。でも今は、1年前にあった先がどうなるかわからない不安はなくなって、その代わりにもっと現実的な課題やライブごとの反省が生まれているので、あの頃とは違う悩み方ができていると思います。

―具体的に今、どういう課題がありますか。

この1年で自分の音楽の幅が広がったり、いろんなライブを観させていただいてきたなかで、これまでやってこなかった音楽の魅力を知ったり新たにやりたいことがいっぱい見えてきたので、それを自分の知識として蓄えてしっかりアウトプットしたいと思っています。

―もともと山本さんはハードロックやメタルが大好きで、様々なバンドの音に触れてきていると思うのですが、リスナーとして見ていた景色と、実際に自分で音を出すのとでは違いましたか。

違いますね。自分が好きで聴いてきたような曲を作れるかっていうのはまた別の話ですし、自分が思っているとおりにできない葛藤もあったりするんですけど、できあがった曲が思っていたものと違ってもそれが自分らしい曲、自分らしさなのかなと思っています。

―今回リリースするアルバム『α』はこの1年の集大成的な作品ですが、こうして1枚になったものを聴いてみていかがですか。

自分が1年前に思い描いていたものとはいい意味で違っていて、こんなにいろんなことができると思っていなかったのでそれはすごく面白いなと思います。最初は自分のルーツになっている音楽を軸にした楽曲が増えるのかなと思っていたんですけど、実際はこれまで全然歩いてこなかった道を進んでいて、この1年ずっと続けていた制作も毎回が挑戦だし、常に新鮮な気持ちで臨めたと思います。

―今作は曲によって制作時期が大きく異なると思うんですが、すでに今と違う感覚の楽曲もあるんじゃないかと思うんですが。

今は、(NMB48の)卒業直後の心境を歌った「イチリンソウ」の頃の自分よりは前に進んでいると思うので、この曲は「ああ、こういう気持ちだったなあ」という感覚で今は歌っています。なので、今後は初心を忘れないために歌い続ける曲になっていくと思います。

―技術的な部分ではどうでしょう。「今だったらこうしたのに」みたいな。

それはけっこうあります。実際、自分で作っておきながら歌いにくかったり、難しい曲が多々あるので、ライブで歌い重ねたことで今はレコーディングのときよりもレベルが上がってると思います。

―シングル「イチリンソウ」の収録曲(「イチリンソウ」「君とフィルムカメラ」「Are you ready?」)はバンド感を重視したシンプルなアレンジで、ライブでやることを意識したと話していましたけど、その後はより凝ったサウンドへと幅を広げています。ご自身ではこの変化を自然と受け入れられているんですか。



信念を持って「これは違う」と主張することも大事だと思うんですけど、まだ1年目ということもありますし、自分がまだ知らない音楽や世界がたくさんあると思うので、そういうものをいっぱい見て、吸収して、それをのちに自分らしい形に変えていけるように勉強することに今は楽しさを見出しています。なので、その結果としてこういうアルバムができたんだと思います。

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