AAAがファンと切り開いたエンタメの新境地

現実は逃避するものではなく、夢によって輝かせていくもの

後半戦を「NEXT STAGE」で封切ると、勢い止まぬまま「BAD LOVE」へ。赤と青を基調とした照明は、愛と哀を描いたMVを彷彿させる。5人の歌声が重なるサビはパワフルで、音圧と共にすさまじいエネルギーを放っていた。サイバー空間から抜け出す映像を背に奏でられたのは、電子音が冴えわたる「PARTY IT UP」だ。末吉が「お前ら聞かせろ!」と煽ると、会場からは「Oooh Oh Oooh」のレスポンス。最高潮の熱気が包みこみ、いたるところからクラップが沸きサイリウムは自由に揺れた。日高の<夢より夢のあるリアル>という歌詞が真っすぐ飛んできたのは、AAAのライブがそういう場であることに他ならないだろう。現実は逃避するものではなく、夢によって輝かせていくものだと。不安やマイナスを燃やすことによって、明日を照らしていくことができるのだとメンバーの歌声が力強く物語っていた。


Courtesy of avex

ファンの心を一段と強く揺さぶったのは、ラストソングとなった「WAY OF GLORY」だ。“まだ道の途中だから信じて”と訴えるような歌詞は、幾度となく変化や困難を超えてきたAAAだからこそ、より強い意味を持って響く。この5人が進む道を信じていこうと思わせるパワーが1曲の中に、ギュッと濃縮されている。感動的な空気のなか、本編は幕を下ろした。

有志のファンに導かれサイリウムのウェーブが東京ドームを彩ると、それに呼び寄せられたかのように再びメンバーがステージへ。みんなで踊れるハッピーチューンの「LIFE」に繋がれた。ソフトボイスで「さよならの前に」を聴かせると、MCを経てライブお決まりのメドレーへ突入。1曲目になったのは、デビュー年にリリースされた「DRAGON FIRE」だ。圧倒的に成長した彼らのパフォーマンスは、積み重ねてきた15年という月日を感じさせて胸にグッとくるものがある。その後は、「I4U」「ハリケーン・リリ・ボストン・マリ」とふり幅の広い楽曲が名を連ねた。「GAME OVER?」により、東京ドームは最高潮へ再到達。サービス精神旺盛なメンバーのパフォーマンスに、絶え間なく歓声が沸いた。大トリの「Yell」では、高く突き上げた拳が会場を埋め尽くした。與は<大切なみんなのこと 照らせる明かりになれるかな>と歌詞をいじり、楽曲の持つ力をさらに底上げ。プラスな気持ちで満ちた大団円で終幕となった。


Courtesy of avex

義務教育ですら9年なのだから、AAAが迎えようとしている15周年が、いかに容易なものじゃないかは想像がつくだろう。諦めない強さを持ち、痛みや涙を超えてきたからこそ、最強のソロパフォーマーが集ったAAAというグループに成し得た。そして、そこにたどりついたのは、ファンという支え(PULS+)があったからなのだと本公演は示唆しているようだった。動画や生配信など、デジタルで楽しめるエンターテイメントが増えてきた現代。エアコンやコタツの温かさに身を委ねるのは悪くはないだろう。しかし、アナログな世界には現場でしか味わえない熱がある。AAAが熱源のひとつとして、さらなるエンターテイメントを魅せてくれるのが楽しみでならない。


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