J-POPの歴史「1986年と1987年、新しい扉が開いたロック元年」

1986年に初来日したイギリスのチャールズ皇太子とダイアナ妃(Photo by Jayne Fincher/Princess Diana Archive/Getty Images)

音楽評論家・田家秀樹がDJを務め、FM COCOLOにて毎週月曜日21時より1時間に渡り放送されているラジオ番組「J-POP LEGEND FORUM」。

日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出していく。2019年12月は「80年代ノート」というテーマで、1980年から89年までの10年間を毎週2年ごと語るスペシャルマンス。様々な音楽が生まれていった80年代に何があったのかを語った本特集を、5週にわたり記事にまとめてお届け。第4回目となる今回は、新しい扉が開きロック元年と言われた、1986年と1987年。

Vol.4 1986年~1987年

THE ALFEE / ROCKDOM-風に吹かれて-


こんばんは。FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」案内人、田家秀樹です。今流れているのは、1986年9月に発売になったTHE ALFEEのシングル「ROCKDOM-風に吹かれて-」。86年11月に出たアルバム『AGES』からお聴きいただいています。ROCKDOMという言葉は、ロックそしてフリーダムという2つの言葉から作った高見沢(俊彦)さんの造語ですね。アルバムタイトルの『AGES』というのは、世代とか時代、そういう意味があります。彼らにとっては初めてのコンセプトアルバムでした。今日の前テーマはこの曲です。先週、80年代の中間点を過ぎました。そこからさらに新しい世界、新しい扉が開いていった。そんな2年間です。

どんな新しい扉が開いたかといいますと、1つはライブですね。ロックのコンサートが一気に大規模化しました。先週初めて国立競技場がコンサートに使われた「ALL TOGETHER NOW」の話をしましたね。そして吉田拓郎さんがつま恋で3回目のオールナイトをやった。その両方のライブに登場していたのが、このTHE ALFEEです。で、THE ALFEEが86年の8月3日、東京湾のベイエリアで行なった野外コンサートが「TOKYO BAY AREA」。史上初めての10万人コンサートだったんですね。アンコールで初めて披露されたのが、「ROCKDOM-風に吹かれて-」でした。俺たちの時代を忘れないで。1969年のことをそう歌っています。

70年代はみんな自分のことで精一杯で、自分たちの時代がどうなっているとか、自分たちの青春を次の下の世代にどう歌うか全然余裕がなくて必死だったわけですね。でも80年代に入って、みんなそれぞれ花が開いて余裕もできて、自分たちの青春ーー60年代70年代のことを今の若い人たちに向けてこんなふうに歌いたいという想いが出てきた。この歌もそんな1曲です。10万人という数を初めてみたのがこのコンサートですよ。すごかったですね。フラットな会場でしたので、1番後ろにいると、はるか先にステージがあったという記憶があります。今だから明かしますが、帰りが混雑しそうだなとアンコール最後まで待たないで、これを聴きながら帰った覚えがあります(笑)。80年代後半、見たことのないコンサートが次々に行われた時期でした。

そんな時代の主役の1組をご紹介します。HOUND DOG、1986年8月発売「ROCKS」。

HOUND DOG / ROCKS


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