マイ・ケミカル・ロマンス、再始動後初ライブ「RETURN」を敢行

再始動ライブ「RETURN」を敢行したマイ・ケミカル・ロマンス

マイ・ケミカル・ロマンスが、12月20日にアメリカ・ロサンゼルスで復活宣言から初となるライブ「RETURN」を敢行した。

人気絶頂のなか2013年に突如解散したマイ・ケミカル・ロマンスが6年の時を経て奇跡の復活ライブを12月20日にロサンゼルスにて行なった。数分で完売しプレミア化し、「再始動するなんて思っていなかったけど、みんなと一緒にここにいられることが幸せだ」とジェラルドが語ったこの日のオフィシャルライブレポートをお届けする。



2013年3月22日の終結宣言が世界中のマイ・ケミカル・ロマンス(MCR)ファンの心を打ち砕き、決して消えることがなかった復活を望む声。今年に入ってからもジェラルド・ウェイ(vo)が再結成の可能性がないことをコメントしたし、ジョー・ジョナス(ジョナス・ブラザーズ)がラジオ番組でMCRがNYでリハーサルをやっていたことを示唆するも、フランク・アイエロ(g)が噂を否定したことがあっただけに、MCRはこのまま地下6フィートで安らかに眠り続けるのかと思っていたが、なんと ”その日” は突然やってきた。

2019年ハロウィンにバンドの公式Twitterで告知された、12月20日のロサンゼルスのシュライン・エキスポ・ホールでの再結成ライブは、6300人収容の会場ともあって発表翌日のチケット発売にも関わらず、わずか数分で売り切れたプレミアライブとなった。会場には前日から夜通しでファンが列を作り、サウンドチェックの音漏れを楽しみ、まさかのメンバー4人から毛布の差し入れ(しかも手渡し!)があったり、会場目の前にある大学、USCのマーチングバンドがライブ当日の朝、「Welcome to the Black Palade」をファンファーレとして演奏するなどまさにお祭り状態。世界中から詰めかけたファンが開演の何時間も前から集まってフレンドシップを形成し、それぞれ武勇伝のようにチケットが取れた時のエピソードを語る姿が見られた。



MCRの1stアルバムのプロデューサーで、彼らと同郷ニュージャージー州出身のエモシーンのカリスマ、ジェフ・リッキー擁するサーズデイがオープニングアクトとあってフロアはフルに詰まっていたものの、熱気が一気に上昇したのはMCRのステージセットが組むために段帳がかけられてから。1stアルバムからの「Romance」、『スウィート・リベンジ』からの「Interlude」、『デンジャー・デイズ』(2010)の「Look Alive, Sunshine」などのインタールードをクロスオーバーさせたオープニングSEによるフラッシュバックの演出によって瞬時にアドレナリンは沸点を超え、フロアは後方から押し寄せる数多の人々で凄まじいことに! そして「I’m Not Okay(I Promise)」のミュージック・ビデオの冒頭の会話シーンが流れた直後、ステージを覆い尽くしていた段帳の先にいた4人が「I’m Not Okay」のイントロを鳴らし、ジェラルドの「Go!」の声をきっかけに段帳が落下!そこにはステージ衣装というよりも普段着に近い、何者をも演じない、ただMCRとしての4人が我々の前に! そして、『スウィート・リベンジ』の頃に実現した、初来日のSUMMER SONIC ’04や翌年の初単独日本公演の頃を思わせるような、彼らそのものの荒削りなテンション。ゴスファッションもメイクもない、至ってナチュラルで地に足の着いた4人。でも彼らの内面がまるでバンドを始めた頃のように初々しく音楽を楽しんでいる。「I’m Not Okay(I Promise)」、「Thank You For the Venom」、「Give ‘Em Hell, Kid」といずれもそんな2ndアルバムからのアグレッシブな曲で畳み掛ける構成によってリミッターが異次元に吹き飛ばされた人々の凄まじい盛り上がり様。会場のカオスさをますます煽るようにアレンジを加えてギタージャンキーと化したレイ・トロ(b)の魅力が際立った4曲目の「House of Wolves」が終わり、思わず笑い声をマイクに乗せて喜びを伝えるジェラルド。「再始動するなんて思っていなかったけど、みんなと一緒にここにいられることが幸せだ」などと語った彼は続けて、今年7月にガンで亡くなった元マネージャー、ローレン・ヴァレンシアさんへの感謝の言葉を述べ、「彼女がいなくて寂しい」と繰り返した。

Rolling Stone Japan 編集部

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