17歳の天才ラッパーLEXが信じる「自分」という存在

―LEXさんの過去も振りかえってみようと思うのですが、まず音楽を始めようと思ったきっかけは何でしたか?

LEX:特に理由とかはないんですよね。ただ物心ついた時から、音楽に囲まれた環境があって。お腹の中にいた時からお母さんがライブハウスに行っていたので、その影響もあると思います。 

―モーツァルトを聴かせると良いとかは聞きますよね。

LEX:僕の場合は、ヘビメタとか聴かされてたっていう(笑)。 

―その影響はあるかもですね(笑)。ヤンキー時代もあったとのことですが、そこから音楽に軸を移していったのはどんな変化があったのでしょうか?

LEX:音楽はずっとそばにあったんです。ただ、集団で暴行を受けたことがあって、それがきっかけでヤンキーを辞めて。その時から、音楽に移っていきましたね。



―そのままグレてしまう人もいるじゃないですか。そこを昇華できたのはどうしてでしょうか?

LEX:そこは、母親を想ったというのが一番強いですね。毎日家にもいなかったし、服に穴を開けたりとか傷だらけで帰ってきたりとかしてしまっていたので。

―それは、何歳くらいの時ですか?

LEX:中学1年生とかですね。

―その時から、“LEX”という名前で活動されていたんですか?

LEX:いや、その頃はまだ“白紙”っていう名前で活動していました。別に名前の案もないし、その頃は今とは感情が違って、なあなあにやっていて。自分の核というか芯がないまま活動していたというか。そこから、だんだんと物心というか感情の整理がついてきて。どうして自分がこうやりたいのかとか、何で歌っているのかとか考えた時にLEXという名前に変えました。

―その変化は大きいですね。そこから周りを巻き込んで活動をし始めることになると。

LEX:僕はあまり学校には行っていなかったんですけど、中学の昼休憩の時にブラックニッカを飲んで好きな曲に関して話すっていうのが流行ってました(笑)。後ろのポケットにブラックニッカを携帯するのがカッコいいっていう。

―ブラックニッカを媒介に仲間を増やしていったんですね(笑)。17歳になられた今、LEXさんが思う大人ってどんな存在ですか?

LEX:僕はまだ、ネガティブな感情を消化しきれないんですよ。そういう感情を自分の中で整理できるのが大人だと思っていて。僕は家から出なくなったりだとか、自分をまだ悪い方向に持っていってしまったりするので。

―その一方で、その気持ちを整理仕切れていない不安定な部分も作品に現れているのかなと思います。

LEX:そういう部分はめちゃくちゃ大きいと思います。実際それがエネルギーになって、曲に生かされている部分もあるし、ライブではそれがみんなの共感を生んでいるのかなって思いますね。

―その前向きな勢いとは逆に、死について考えたりはしますか?

LEX:それはあまり考えないようにしていますけれど、やっぱり思春期ですし、自殺も近くにあったり。実は僕も1回自殺を試したことがあって。その結果、飛び降りて気を失っていた時間にいろいろ学んだことがあった。自分が抱えている問題って、意外とみんなも悩んでいることなんだなってこととか、逆にどれだけつながりがあるような見せ方をしていても、人は結局孤独だっていうこととか、自分がどれだけ周りの家族とか友達とか他の人に影響を与えるのかとかもそこから知りましたね。

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