くりぃむしちゅー有田哲平はプロレスから何を学んだのか?

『有田と週刊プロレスと』(©flag Co.,Ltd.)



シチュエーションモノマネができるまで

―今の話に結び付けられる話なんですけど、有田さんって番組の中で、絶対その現場にいないだろうっていうシチュエーションのモノマネもされますよね? 例えば、猪木さんと新間(寿)さんの密談とか。レスラー同士が飲み屋で話してるところとか、有田さんはどうやってモノマネされているのだろう?って思いながら僕見てるんですけど。おそらく、いろんな文献を読んでのことなのかなとは思ってはいるんですが、その辺をぜひお聞かせいただきたいなと思って。

まず一番は文献ですね。いろいろなインタビューなんかをたくさん読んでいます。でも一つの事件に関して、いろんな関係者の方がそれぞれの視点で違うことを語られていることも多いので、真実はわからないんですよ。いろんな事実みたいなものが並べられるだけで。だけど、そういうインタビューを読み込むうちに、「きっとこういうことだったんだろうな…」というのがなんとなく頭の中でできてきます。

―はい。

そうなっていくと、僕一回ビックリしたことがあったんですけど、長州力さんの「キレちゃいないよ」のモノマネを初めてやり始めた時、まさにUインター(UWFインターナショナル)と新日本プロレスの全面対抗戦の頃ですよね。今から25年くらい前かな。ザキヤマ(山崎弘也)に「ちょっと、キレましたかって聞いてくれ」って言いながら練習してたんですね。で、聞かれたら「キレてないですよ」ってモノマネで言ってたんですよ。そのうちに芸人だからふざけ始めて、ザキヤマがいろんなことを聞き始めるんです、関係ないこととか。そしたら不思議と何でも答えられるんですよね。長州力さんになりきって(笑)。

―そんなこと言わないのに、長州さんは。

いや、でも、たぶん長州さんは言うだろうと! 調子に乗って「どんな女の子が好きなんですか」みたいなことを聞かれたら、「(長州力のモノマネで)なんだ、お前その質問は。お前。受けないぞ、お前の取材は……」とか。答えるとかじゃなくて怒るんですよ。モノマネをしているうちにどんどん憑依してくんですよね。

―入ってくるんですね。

きっと長州さんならこう言うだろうというルールがあるんですね、モノマネの中には。長州さんはこういうことしか言わないだろうなとか、天龍さんだったら基本的にはリスペクトがベースにあって「(天龍源一郎のモノマネで)いやー、あの選手は素晴らしいよ」みたいな。長州さんはきっと早くインタビューを終わらせたいって気持ちだし、とか。

―なるほど。

その上で、いろいろな文献が頭の中に入っているから、例えば新間さんにこんなことを聞かれたら、猪木さんはきっとこう返すだろうっていうのは自然と出てきちゃうんですね。そんな感じで初めは予想や想像だったものが、二十何年も経つと徐々に記憶がすり替わってきて、自分がその場で聞いていた気になっちゃう(笑)。

一同:(笑)

これが不思議なんですよね、プロレスは。この番組のシーズン1のDVD-BOXの特典映像で詳しく話しましたが、長州力さんが藤波辰巳(現・辰爾)さんに言った「俺はお前の噛ませ犬じゃないぞ」っていう名言だって、そもそも音声は残ってないわけですからね。

―そうですよね。あれ、残ってないですよね。

言ったであろうとはされてますけど、映像がないですもんね。写真だけで。だけど、「(長州力のモノマネで)俺はお前の噛ませ犬じゃないぞ」っていう、このトーンじゃないかと思ってるわけです。

―わかります。

だから頭の中ではもう勝手にそうなってちゃってますよね(笑)。

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