LUNA SEA、誰一人欠けることなく聖夜に届ける30年の奇跡

「JESUS」、「THE BEYOND」を披露すると、ここで、INORAN曰く「SUGIZOが機材を愛しすぎてしまった」故のギターの機材トラブルが起こり、メンバー全員でトークの間を繋ぐ。普段ならメンバーは一度ステージから下りるが、今回はスペシャルということで急遽トークコーナーへと移行した。真矢がメンバーのモノマネをするジョークあり、30年を振り返ったトークありで、J曰く「30年間で1度もなかった神回」だという。各々の楽器を鳴らしながら自己紹介するシーンでは、ギターが鳴らないSUGIZOが「ギャイーン!」と叫びながらエアギターを鳴らすシュールな場面もあり、会場からは歓喜の声が上がった。RYUICHIは、「一度壊れてしまった関係が、7年ぶりのステージで東京ドームに立てて、これか、これが血を騒がせるグルーヴなんだな、世界にはうまいバンドがたくさんあるけどLUNA SEAのグルーヴは世界のどこにも負けていない、パッと集まったミュージシャンには出せないグルーヴなんだよね。我々も約半世紀生きてきて、サウンドにも深み、熱がさらに篭ってきています。ということは、さらに若々しくパワーのあるサウンドを皆に届けられるのではないかなと思っています」と話した。



確かにステージの合間のメンバー間のコミュニケーションが増えてきている。筆者は、REBOOTしてからのLUNA SEAしか直接ライブを観たことはないが、映像で観てきた終幕前のライブよりもメンバー同士の絡みが確実に増えてきていた。本公演中にもステージ中にハイタッチやメンバー同士が歩み寄って一緒にプレイする場面が数多く見られた。これまでの30年、特に、一度は降ろしたLUNA SEAの幕が再び上がった2007年からの12年の間に、5人の絆は全盛期よりも更に強固になり、互いにサポートし合い、より理想的な関係を築けてきたのではないかと感じずにはいられなかった。トラブルの場面ではあったものの、このメンバーが支え合って繋いだワンシーンは、SLAVEにとっても何にも代え難い素敵なクリスマスプレゼントになったはずである。



更に運命的に感じたのは、この後披露された楽曲、9thアルバム『LUV』収録の「BLACK AND BLUE」である。映画『ペルシャ猫を誰も知らない』に出演する情熱に溢れたイランのバンドに感銘を受けたSUGIZOが作ったというこの楽曲、「僕らもかつてはそうだったはず。30年近く前はね。かつて少年だった自分たちが望んだのが、今の状況のはずなんです。」とインタビューでSUGIZOが語った言葉を覚えている。30年の間に紆余曲折を経た末に、彼らが描いていた理想のバンドの姿を体現した楽曲がこのタイミングで演奏された。この出来過ぎた偶然に心からアツくならずにはいられなかった。トラブルを経ても、ライブの勢いは落ち着くどころか、会場もメンバーも更に盛り上がっていき、「STORM」、「SHINE」、「BELIEVE」と往年のヒットナンバーを出し惜しむことなく、最大級の勢いでライブ本編を終えた。

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