ローリングストーン誌が選ぶ「2019年ベスト・ムービー」トップ10

3.『パラサイト 半地下の家族』


韓国映画界の巨匠ポン・ジュノ監督に感謝しよう。常識を覆した『パラサイト 半地下の家族』はアメリカ人の字幕に対する嫌悪感を癒しているかのようだ。貧しいキム一家は裕福なパク一家にじわじわと紛れ込む。最初は家庭教師としての地位を確保し、その次に使用人を装う。この映画は、階級に関する社会風刺を辛辣な笑いで描くことから始まり、誰もが持っている貪欲さの寄生的な本質を問うホラーへと構築されている。ポン監督のテクニックは強烈に素晴らしい。映画を見る際には、この映画の力に畏怖の念を持ってほしい。



4.『マリッジ・ストーリー』

Wilson Webb/Netflix

チャーリー(アダム・ドライバー)とニコール(スカーレット・ヨハンソン)はお似合いの夫婦だ。ただし、ニコールはロサンゼルスに引っ越したく、チャーリーはニューヨークに留まりたいと思っている。8歳の息子ヘンリー(アジー・ロバートソン)は、その2人の間の焦土化したような空間にたたずむ。離婚につながりかねない無数の事柄をベースにして、脚本家兼監督のノア・バームバックは、自身最高の映画を作り出した。この映画には、自分の身につまされる結婚生活の中の場面が次々に描かれている。ドライバーとヨハンソンの最高の演技を目にして、きっと笑うこともあれば、泣いたりするだろう。しかも、それが同時に起こることもあるはずだ。



5.『Little Women(原題)/ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語

Wilson Webb/Columbia Pictures

『マリッジ・ストーリー』のノア・バームバックのパートナーであるグレタ・ガーウィグが、聖なる結婚生活がとんでもない重荷となるかもしれないという題材に取り組み、脚本と監督を務めたこの映画は楽しく見ることができる。ルイーザ・メイ・オルコットが1860年代に書いた小説『若草物語』のプロットで主に扱われているのは、4人のマーチ姉妹の1人、激情の持ち主であり、駆け出しの作家であるジョー(シアーシャ・ローナン)であるのは間違いない。メグ(エマ・ワトソン)とベス(エリザ・スカンレン)は、エイミー(素晴らしいフローレンス・ピュー)が自分の得意分野でジョーに挑む姿を見守る。『若草物語』はこれまでに8本の映画になったが、今回の『Little Women』はその中でも最高の出来栄えであり、ガーウィグはアルコット自身の人生と反抗的な性格を映画の中に混ぜ込んだ。その結果、あらゆる年齢の女性の自立を称え、気分を爽快にさせる映画を観客に届けている。(※2020年3月日本公開予定)



6.『1917 命をかけた伝令』

Jonathan Prime/Universal Pictures

あらゆるレベルで納得のいく素晴らしい業績が成し遂げられた映画。監督のサム・メンデスと撮影監督の想像力豊かなロジャー・ディーキンズは、2人とも最高レベルの才能を放ちながら、ワンカット(少なくともそのように見える)で第一次世界大戦の物語を語ることを試みている。2人の若き英国兵士のスコフィールド(ジョージ・マッケイ)とブレイク(ディーン・チャールズ=チャップマン)は、ドイツ軍が1,600人以上のイギリス軍兵士の命を奪いかねない罠を仕掛けているというメッセージを伝えるために、敵陣を越えるという不可能な任務に挑む。メンデスとディーキンズのアプローチには、受け狙いものはない。2人とも技術的な奇跡を起こしているが、それに勝るのは、感情面を深く追求していることだ(マッケイの演技には胸が張り裂けてしまう)。緊張感みなぎるこの戦争映画では、観客は席から離れられない。(※2020年2月14日日本公開予定)


Translated by Koh Riverfield

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