ローリングストーン誌が選ぶ「2019年ホラー映画」トップ10

ローリングストーン誌が選ぶ「2019年ホラー映画」トップ10


4位 『In Fabric(原題)』

Courtesy A24

亡霊にとり憑かれた1着のドレス、2人の客、6人の魔女、そして限りのないフェティシズムの倒錯――その通り。この作品はピーター・ストリックランドの映画だ! 『バーガンディー公爵』を世界に送り出したイギリス人のストリックランド監督は、霊にとり憑かれた服が超自然的な大混乱を引き起こすミシン仕掛けの神の物語であり、暗くジメッとしたユーロスプロイテーション映画の果てを切り開き続けている。滑らかなガウンを低俗に感じさせることなく、不気味かつシュールに見せることでうまく切り抜けられる人は少ないだろうし、途方もなく冗長な小売店のアナウンスを面白くかつ不安にさせるものにできる人はほとんどいない。この作品はハマー・フィルムとアミカス・プロに対してトップレベルのオマージュを捧げ、魔女が運営するブティックで洋服を買わないことをちゃんと思い出させてくれて、さらに、必要性があるとは知らなかったオートクチュール映画だ。

3位 『ミッドサマー』

Courtesy A24

『ヘレディタリー/継承』での暗く、影に満ちた熱狂的な夢の次はどんなものだろうか? アリ・アスター監督なら、恐怖を光の中に引きずり込む。それは具体的に言うと、太陽がほとんど沈まないスカンジナビアの夏祭りだ。一人の女性(万歳、フローレンス・ピュー!)をはじめとするアメリカ人のグループが、民俗の風習と神話を研究するために、遠く離れた一生に一度のイベントに訪れる。『ウィッカーマン』を思い出すよりも早く、表面上は笑顔を見せて幸せそうに見えるそのすぐ裏で何か悪いことが起こっている感覚が支配し始めていく。現代の不快な男らしさや、別れは辛いことを希望なく伝える寓話、春の儀式でのひときわ不安な表情などに対して、この映画以上にしっかりと応じている映画を見つけるのは困難なことだろう。しかし、何よりも、『ミッドサマー』はゆっくりと舵を取ることを楽しんでいる映画のようなもので、ホラーであるかどうかさえ確信できない。だが、この映画は間違いなくホラーであり、座席の下の床が抜けるぐらいに確実に驚く。



2位 『ザ・マミー』

Courtesy Shudder

カルテルに関係した暴力が、メキシコのある街を事実上ゴーストタウンに変えてしまった。またたく間に、母親が「消失」してしまい、エストレヤ(パオラ・ララ)という少女は独りきりになる。絶望の最中、彼女はシャイネ(フアン・ラモン・ロペス)という少年が率いる同じような境遇のホームレスの子供たちと友達になる。携帯電話を盗んだことで、子供たちは全員、麻薬のギャングに狙われてしまう。幸いなことに、エストレヤは死者の霊を味方につけていて、その霊たちは皆、自分たちを殺したそのギャングには用があった。この映画は恐怖感と社会的なコメントのどちらもないがしろにすることなく、ホラーというジャンルを生かす方法は本当に素晴らしく、胸が張り裂けるような実例だ。脚本兼監督のイッサ・ロペスによる超自然的な雰囲気を持つこのサバイバルストーリーに注目が集まっている。ギレルモ・デル・トロは大ファンであり、熱心な支持者のひとりだ。しかし、我々にとって、この作品は2019年の隠された逸品であり、今日のトップニュースでは扱われない話題に対して少し変わった見方をしている。その見方というのは空想と運命を美しく融合させている。ロペスが次に何をするのか楽しみで待ちきれない。

1位 『アス』

Claudette Barius/Universal Studios

その少女はビックリハウスのゆがんだ鏡にどうやって現れたのか? 血まみれの手をした男は海辺の端になぜ立っているのか? はさみは全てどうしたのだろうか? 私道の端に立っている赤いつなぎを着た4人は一体誰なのか? そして、休暇中のゲイブとアデレードのウィルソン夫婦とその子供たちにどんな用があるのか? ジョーダン・ピール監督の2作目の映画は、案じられていた2作目のジンクスを打ち負かすだけでなく、『ゲット・アウト』がまぐれではなかったことを証明している。我々が敵を目撃してきた手法には新鮮味がなくなってきたが、それを面白く膨らませるのは、本当に恐ろしい話だけだ。それは……つまり、もう一度この映画のタイトルをチェックしてみてほしい。この物語の中心的存在で驚くべき演技をする4人の俳優は、四面楚歌にある平均的な中流階級の家族と、その家族をストーカーしている精神的に異常なドッペルゲンガーの両方をうまくこなしたが、このひとつの映画で(場合によってはひとつの同じシーンで)2人分の最高の演技を見せたルピタ・ニョンゴをぜひ称賛してほしい。この作品は我々の国家が分裂されたことと抑圧された者が再び現れたことに対して突っ込んだ解釈をしている。今後は「ハンズ・アクロス・アメリカ」を同じようには見ることはなくなるだろう。



Translated by Koh Riverfield

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