性的暴行で有罪判決を受けたビル・コスビー被告、控訴が却下される

2018年に性的暴行罪で有罪判決を受けたビル・コスビー被告の控訴を審査団が却下(Photo by David Maialetti/AP/Shutterstock)

米ペンシルベニア州の裁判所が、2018年に性的暴行で有罪判決を受けたビル・コスビー被告の控訴申請を棄却したと、ニューヨーク・タイムズ紙が報じている。コスビー被告は2004年にアンドレア・コンスタンド氏に対する不適切な加重暴行3件で有罪判決を受け、現在はフィラデルフィア郊外の重犯罪刑務所で、3年から10年の懲役刑を務めている

ペンシルベニア州最高裁判所の審査団は、全員一致でコスビー被告の控訴棄却を決定した。被告の弁護団は今年6月、コスビー被告が公正な裁判を受けられず、不当に有罪判決を申し渡されたとして控訴を申し立てていた。取り分け被告弁護団は、コスビー被告に薬を盛られ、性的暴行を受けたという他の5人の女性の証言を、法定証拠として認めた裁定に反論していた。ペンシルベニアでは、稀なケースではあるものの、過去の犯罪容疑の証言が証拠として認められている。従って被告弁護団は、女性らの証言が虐待のパターンを立証する基準を満たしていないと反論した。

しかし判事たちは弁護側の主張を却下。女性たちの証言によって、コスビー被告が女性たちにアドバイスを授けて彼女たちの信頼を得た後、薬を使って性的暴行を行った手口が明らかになったと述べた。さらに、こうした一連の行動を「コスビー被告独自の性的暴行マニュアル」とも呼んだ。

モンゴメリー郡地方検事局のケヴィン・スティール検事は声明の中で、控訴棄却の判決を称賛し、こう述べた。「刑事犯罪公判の最終段階が幕を閉じたことで、今回の事件の被害者アンドレア・コンスタンドさんもようやく暴行事件を過去のものとすることができるでしょう。被害を乗り越えた強い女性として前に進んでいただきたいと思います。名声も地位もある男性から受けた性的暴行を通報し、名乗り出た彼女の勇気のおかげで、結果的に彼が連続レイプ犯であることが明らかになったのです。そして他の女性たちに名乗り出て性的暴行に立ち向かう勇気を与え、規範を示したのです」

今回の棄却判決に対してコスビー被告がペンシルベニア州最高裁判所に上訴することも可能だが、最高裁が審議を開くという確証はない。

Translated by Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE