アメリカーナの今を象徴する実力派、ジェイソン・イズベルを知るための5枚

4. Jason Isbell『Something More Than Free』(2015年)


前作同様ソロ名義で発表した5作目。グラミー賞では最優秀アメリカーナ・アルバムと最優秀アメリカン・ルーツ・ソングの2冠を獲得。サウンド的にも前作の延長線上。自身の体験にまつわる歌もあれば、南部の日常生活を切り取った歌もあり、必ずしも明るい題材ばかりではないが、ほのかな明るさに包まれている感じがいい。「Children Of Children」は10代で父母になった自分の両親のことを書いた曲。あざとさのないポップネスには磨きがかかり、多彩なギター・ワークは冴えわたる。DBTへの想いを綴った「To A Band That I Loved」が泣ける。

◎オススメ曲:24 Frames, How To Forgot




5. Jason Isbell and The 400 Unit『The Nashville Sound』(2017年)


現時点での最新作は、久々に、ジェイソン・イズベル&ザ・400・ユニット名義でリリースされた6作目。レトロなタッチのジャケットもかっこいいが、音も裏切らない。疾走感といい、力強さといい、正しくロック・バンド然とした「Cumberland Gap」などは、生で聴いてみたいと切に願う。と同時に、愛と死の根源に穏やかに迫る「If We Were Vampires」に涙する自分もいる。全米チャート最高4位、カントリー、フォーク、ロックのジャンル別では全て1位を獲得。グラミー賞でも前作に続き2冠を達成した。

◎オススメ曲:Cumberland Gap, If We Were Vampires, Something To Love







初来日公演の展望


さて、ジェイソン・イズベルの初来日公演に、何を期待するか?と聞かれたら、「全部!!」と答えるしかない。今から15年前、ジェイソン在籍時のDBTはアメリカのフェスで観ているが、ソロになってからの彼を観るのは初めてだ。まさかこのタイミングで長年の願いが叶うとは思わなかった。

「幼い頃から彼が培ってきた音楽的な素養の豊潤さに加え、今という時代に対する厳しい目や認識と、それでもポジティヴな思考を失わない強さを持ち合わせている懐の深いソングライターであり、シンガーでありギタリスト、それが私の中のジェイソン・イズベルだ」と書いたからには、そのすべてを堪能し尽くしたい。中でも一つと言われたら、「歌」だ。少しくぐもりがちでビター・スウィートな声が、詩情あふれる言葉を旋律にのせて丁寧に細やかに、時には大胆に歌い上げる。そんなジェイソンの歌や息遣いをダイレクトに感じたい。古いマーティンを抱えて「If We Were Vampires」なんか歌われちゃったら号泣だな、きっと。

もちろん、アマンダが同行しステージを共にすることにも万々歳だ。彼女が奏でるフィドルの音、ジェイソンの歌に寄り添う彼女の歌、それはジェイソンに安心を与え、心の奥から正直で純粋な思いをするりと引き出す潤滑油のような役割を果たしているように思う。これぞまさに比翼連理。

まずは、ジェイソンとアマンダと過ごす夜に足を運んでいただきたいと思う。2020年の年明けにふさわしい夜になることを信じて。そして、欲張りな私たちは、次にザ・400・ユニットとの共演が日本で実現することを期待するに違いない。





ジェイソン・イズベル来日公演
2020年1月13日(月・祝) ビルボードライブ東京
1st ステージ 開場 15:30 開演 16:30 / 2nd ステージ 開場 18:30 開演 19:30
サービスエリア¥9,500- カジュアルエリア¥8,500- (1ドリンク付き)
※ご飲食代は別途ご精算となります。

出演:
ジェイソン・イズベル(Vo,Gt)
アマンダ・シャイアズ(Vo,Fiddle)

詳細:
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=11749&shop=1

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