米辞書出版社が発表した2019年の流行語は「they」

辞書出版社Merriam-Websterが発表した2019年の流行語は、代名詞they(Photo by Richard Isaac/Shutterstock)

アメリカで最も伝統ある辞書出版社Merriam-Websterが今年の流行語を発表。2019年の流行語は代名詞「they」に決まった。2019年、Merriam-Webster.comでtheyという単語が検索された回数は、昨年と比べて313%も増加したという。

「英語には、everyone(みんな)やsomeone(誰か)といった単数代名詞とぴったり対応するような、単数中性代名詞がないことで有名です。その結果600年間もずっと、theyが単数中性代名詞として使われてきました」と、Merriam-Websterは声明を発表した。近年、自らの性別を特定しないノンバイナリーやジェンダー・ノンコンフォーミング(GNC)の人々に対する意識が高まってきたため、theyを単数代名詞として使用するケースが以前にも増して目立っている。

同社の発表によれば、最初にtheyの検索増加が見られたのは2019年1月初旬。ちょうどノンバイナリーのモデル、オスロ・グレースが数々のトップランウェイに登場し始めたころだった。次に検索が増加したのは4月で、ジェンダー・ノンコンフォーミングの子供を持つワシントン州代表プラミラ・ジャヤパル下院議員(民主党)が、LGBTQの権利を法律で認めるよう下院司法委員会の会合で熱弁を振るったのがきっかけだった。

9月に再び検索数が上昇。ポップスターのサム・スミスがソーシャルメディアで、これからthey/them/theirという代名詞で呼ばれたいと発表した時だ。スミスは「人生の間ずっと自分のジェンダーと戦ってきた」末にこのような決断を下した、と述べた。

Merriam-Websterはtheyの新たな定義として、ノンバイナリーやジェンダー・ノンコンフォーミングの人々の代名詞、という記述を付け加えた。他の団体もこれに倣いつつある。アメリカ心理学会は今年10月、三人称単数代名詞としてのtheyを支持。アメリカ方言学会はすでに2015年に、単数代名詞としてのtheyをその年の単語に選出している。

Translated by Akiko Kato

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