マイケル・ブルームバーグの米大統領選立候補、通信社ブルームバーグに与えた悪影響とは?

2016年夏、MSNBC、CNN、ニューヨークタイムズ紙、ワシントンポスト紙など老舗の「大手」報道機関にも、かつてのFOXと同様の行動が見られ始めた。トランプの出現は、多くの報道機関が従来型の客観的報道というものを見直すきっかけとなった。同年8月に筆者は、この状況がどのような結果をもたらすかについて懸念を示した。

現在は、民主党の腐敗を報じる共和党系メディアと、共和党の腐敗を報じる民主党系メディアという構図になっている。このような状況は正常に機能しない。

編集者や記者は、少なくとも公平に見せなければならないというプレッシャーから解放されると、当然フェイク情報に踊らされやすい。そして最終的には誤ったストーリーで一か八かの勝負に出ることとなる。大量破壊兵器の件もロシア疑惑にまつわる「トランプ包囲網」のストーリーに対しても、報道各社は事実よりも作り上げられたストーリーを基に報道したため、崖っぷちに追い込まれやすかった。

さらに悪いことに、編集者や記者は自分たちが「支援する側」に関する報道を止めると今度は、「正しい」観点に基づく予め選択したストーリーを作り始める。結果として特定の政治情報源とのなれ合いが度を超えて、本来の目的を見失うどころか言葉遣いまで忘れてしまうようだ。記者らがまるで政治家のような口ぶりで話し出すのだ。

ここで抜き打ちテストを試してみよう。以下の内、民放テレビ局の見出しはどのグループで、民主党全国委員会のものはどれか?

グループA
打ち負かされるジム・ジョーダンのビデオ
タイムライン:ヨバノビッチに対する圧力キャンペーン
偽りの発覚:トランプによる最も笑える腐敗の主張
エコノミック・クラブにおけるトランプによる嘘満載の最新スピーチ

グループB
発覚:ルビー・ジュリアーニによる「でたらめな犯罪」
多くの分野で行き詰まりながらも経済成長を主張するトランプ
安全保障政策をエスカレートするトランプ
ウクライナ陰謀説を唱え続ける共和党

答えは、グループAが民主党全国委員会で、BがMSNBCだ。

次に「別の側」による例も見てみよう。一方が共和党全国委員会で、もう一方が民間の報道機関によるものだ。

グループA
結論は出た:シフの失敗
トランプ政権下で活気づくアフリカ系アメリカ人コミュニティー
激怒:連邦判事の再編で大慌ての民主党
国民は弾劾にうんざりしているにもかかわらず、止めようとしない民主党

グループB
バイデンがアイオワで苦戦すると支持者が考える理由
世論調査:弾劾に賛成していた無所属層も、公聴会の最初の2週間を終えて多くが反対に回る
感謝祭の反弾劾キャンペーンへ向けて懸念を高める民主党
息子を一流私立学校へ進学させたにもかかわらず、子どもたちは私立学校へやっていないと否定するエリザベス・ウォーレン

グループAは共和党全国委員会で、Bがデイリー・コーラーだ。

あるビリオネアを政治の世界へ飛び込ませる道筋を付けたブルームバーグによる公式声明は、有機的に発生するものというよりは、FOXやMSNBCのような報道の問題といえる。偏った報道や、或いはオーナーやスポンサーを予め報道内容から除外するいかにもありそうな内容の報道でミスリードできる、という考え方から来るものだ。

マイク・ブルームバーグの場合、このような考えを理解せず或いは気にもかけずにメディアネットワークを所有しているとは思えない。彼が大統領候補に名乗りを上げてからまだわずか数日しか経っていないが、報道の自由を金で買っても問題ないと考えていることを有権者に表明することで、既に大きなダメージを与えた。そんな彼が民主主義を救うことができるのだろうか?

ブルームバーグの立候補に不信感を抱く理由は他にもたくさんある。彼は当初、警官による不審者の身体検査や職務質問を推奨していたものの、後に謝罪している。彼はまた、ウォール街の汚職に対して寛容な態度を取っている。しかし、メディアの役割に関する彼の貴族階級的な考え方には、既にうんざりだ。彼は視聴者に見せるものと見せないものを自分が決めてよいと思っている。神よどうか、救世主妄想を持つビリオネアたちから私たちをお守りください。

Translated by Smokva Tokyo

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