『ゴーストマスター』監督ヤング・ポールと小出祐介、究極の映画愛を語る

映画『ゴーストマスター』の公開記念で対談を行った監督ヤング・ポール(左)と小出祐介(右)(Photo by Tomoyuki Yamazaki)

究極の映画愛”をキャッチフレーズにしたホラー映画『ゴーストマスター』が公開中だ。

本作は、第2回TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM準グランプリを受賞した新星ヤング・ポール監督による長編デビュー作。ゾンビありスプラッターありサイバーパンクあり、ありったけのホラー映画LOVEを込めたストーリーは、映画ファンであるほどハートを撃ち抜かれるに違いない。

そんな監督と今回対談をおこなった相手は、ロック・バンドBase Ball Bear、そしてマテリアルクラブで活躍する小出祐介。本作の主題歌「Fear」をマテリアルクラブが手がけ、J-ホラー・リスペクトを込めたリリックが話題を呼んでいるが、映画に関しても一家言ある論客としておなじみだ。

そんな2人が激突するのだから、血を見ずには終わらない。惨劇が今、幕を上げる!



ー『ゴーストマスター』ではトビー・フーパー監督の映画『スペースバンパイア』(1985)が重要なキーワードとして登場しますが、ポールさん的にはガチでLOVEなのでしょうか? かなりツッコミどころのある映画なので、『テッド』の『フラッシュ・ゴードン』や『ビッグ・ヒット』の『キングコング2』みたいに、好きなんだけどプププ…… みたいな屈折した愛情なのでしょうか?


ヤング・ポール(以下、ポール):かなりガチですよ。今回のテーマの1つが“継ぎ接ぎ”なんです。映画もいろんなカットを継ぎ接ぎして作るんですけれど。『スペースバンパイア』の面白いところは、SF(スペース)とホラー(バンパイア)がくっついた名前で、映画自体にもいろんな要素が詰まっていて、話も一本調子じゃない。だけど、全体で見ると圧倒的な凄いものを見てしまった…… というそのあり方。『スペースバンパイア』が持っている継ぎ接ぎの魅力とかをパワーに帰結したいなと。ネタ的に始まりつつ、実はガチにトビー・フーパーへのリスペクトを捧げたつもりです。



ー小出さんは、『スペースバンパイア』についてはどう見ていらっしゃいますか?

小出祐介(以下、小出):そういう意味では『スペースバンパイア』って結構ヒップホップみたいだなと思って。いろんな要素をサンプリングしてひとつの作品にする姿勢というか。そう考えると映画ってヒップホップみたいだなと思うことって結構あります。タランティーノの作品とか特にそうですけど。そういう映画の一面は好きだし、それを自分の音楽に落とし込めたらと日々思っています。今回、その点でもラップのある曲で参加できてよかったです。

ートビー・フーパー監督作品でいえば、『スペースインベーダー』(1986)はどうでしょう?

ポール:個人的にはやっぱり宇宙人の造形が可愛くて最後、ミラーボールみたいに光が表現されていて、ああいうディテールの驚きが好きな作品ですね。宇宙人が可愛すぎるな…… みたいな印象もありますが。

ートビー・フーパーの晩年の監督作品はけっこう困ったものもありますが、お2人ははどこまで付き合いましたか?

小出:僕はチリヂリに見ている感じですね。全部は観ていないです。

ポール:僕はUAE資本の最後の作品『悪魔の起源 ジン』(2013)まで観てます! 池袋の新文芸坐で“トビー・フーパー追悼オールナイト”があって、1本目が『悪魔のいけにえ』1974で。その後『マングラー』1995、それから『悪魔の起源 ジン』もあって。

Rolling Stone Japan 編集部

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