YouTubeのCEOが我が子にYouTube閲覧を禁じる理由

問題に対するYouTubeの対応

YouTubeの広報担当者はローリングストーン誌のコメント取材に対し、「弊社ではYouTubeは13歳以上の子供向けだと明記しており、13歳未満の子供のアカウントであると弊社が判明した場合にはアカウントを停止しています」と述べ、こうしたアカウントが毎週数千件ほど停止されている、とも付け加えた。子供から搾取しているという批判に対し、YouTubeは常々、子供を狙った暴力的または有害なコンテンツは極々稀だと主張してきた。

同社のファミリー向け及び学習コンテンツのグローバル主任、マリク・ダカード氏は2017年にニューヨーク・タイムズ紙の取材で、そうしたコンテンツは「わら山の中の1本の針」で、30日間でYouTube Kidsの動画のうち不適切なコンテンツとして削除されるものは0.005%にも満たない、と発言した。とはいえ、同社が最近改訂した利用規約を見ると、子供に関する問題の対応策として、動画のクリエイターにその責任を負わせている箇所が散見される。先月には、子供向け動画にはその旨をラベル表示することをクリエイターに義務付けるとの方針を発表した。その結果クリエイターたちは、COPPA違反があった場合、自分たちがFTCから個々に処罰を受けることになるのでは、と恐れている。

ウォシッキーCEOの『60 Minutes』での発言からも、不適切なコンテンツから子供を守るのは親の責任であり、会社がそうしたコンテンツを取り締まるものではない、とする節が伺える。去る8月、ガーディアン紙とのインタビューでウォシッキー氏は「責任あるテクノロジーの扱い方」を子供に教えるのが重要だと強調した。「家の外でどう振る舞うべきかを教えるように、インターネットの安全性について子供と会話をするべきです。そして、動画を見る時間と他の活動を両立する方法を探るべきです」 この手のメッセージは、シリコンバレーのCEO連中がテクノロジーに懸念を示す親たちをあしらう際に使う常套句だ。

子供のPC時間を制限しろという提案は、表面上は尤もらしい育児アドバイスに聞こえる――だが、仮にも理論的には子供たちをターゲットにした商品を売る企業のCEOが、このような発言をするとはとても信じがたい。さらに言えば、どれだけ多くの子供や親が同社のプラットフォームを日常的に使っているか、認めようとしないようにも受け取れる。

数十億ドル規模の企業のCEOにとっては、子供が不快なコンテンツにさらされないよう、動画の閲覧時間を制限しろと親に提案するだけで事足りるだろう。だがそうしたからといって、現実は何も変わらない。ウォシッキー氏ほど恵まれていない親たちは(場合によっては即席ベビーシッターも)、幼い子供の学習ツールとしてYouTubeに頼らざるを得ないのが現状だ。エルモの首が爆発するというトラウマになりかねないものを子供たちに見せないようにする責任は、親たちの肩ではなく、ウォシッキー氏の肩にかかっている。

Translated by Akiko Kato

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