J-POPの歴史「1982年と1983年、70年代のムードを断ち切った転換点」

1983年7月15日にはファミリーコンピューターが発売された (Photo Illustration by Guillaume Payen/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)



尾崎豊の登場

70年代から活動して花開いた人、80年代の幕開けとともにデビューした人の流れの中で、センセーショナルで、新しい世代の誕生を告げたのがこの人ですね。83年12月に発売になりました。尾崎豊さんのアルバム『17歳の地図』の1曲目「街の風景」。

尾崎豊 / 街の風景


83年12月1日に出たデビューアルバム『17歳の地図』の1曲目ですね。シングル「15の夜」と同時発売されました。尾崎さんは1965年11月29日生まれで、このときは18歳になった2日後、まだ高校生だった。デビューアルバムの1曲目で、「人生はキャンパスさ」と歌っていたり、「心のハーモニー 奏でよう」や「ガラス作りの歌 奏でよう」とか、年齢のわりには老成といいますか、人生を達観したようなところがあった。のちにつけられる「反抗のカリスマ」とかいうキャッチフレーズとは違う、ナイーブな傷つきやすさ、尾崎さんはそういう面を持っていたんじゃないかなと今でも思うときはあります。「15の夜」が衝撃的だった分だけ、みんながそこに尾崎さんを当てはめようとした。「盗んだバイクで走り出す」わけですからね。ただ、「15の夜」の中でも、自由になれた気がしたとは言っているんですけど、自由になれとか、自由になれるとかは言っていないんです。そういう意味で、いろいろな疑問系、懐疑系の中で彼は生きてきたわけで、それでも「心のハーモニー 奏でよう」と歌っていた。2020年1月3日から16日まで『尾崎豊を探して』という映画が公開されます。監督・佐藤輝さんが撮った膨大なフィルムの中から改めてドキュメンタリーが作られています。年明け84年1月に彼は高校を退学して、プロになる。プロになるって変な言い方ですね。でも尾崎豊が新しい世代のシンボルだということは間違いないです。

80年代の主役が出揃ったのが、82年、83年。少しずつ時代が変わっていきます。そういう1年間で、じわじわじわじわ浸透していった曲で今日は終わろうと思います。

上田正樹 / 悲しい色やね~OSAKA BAY BLUES 


東京で暮らしていて、大阪がロマンチックな街だなってイメージを持った曲です。この曲までは上田正樹さんは『ぼちぼちいこか」のイメージがありましたから。83年の年間チャート1位は、大川栄策さん「さざんかの宿」、2位細川たかしさん「矢切の渡し」、3位、わらべ「めだかの兄妹」、4位薬師丸ひろ子さん「探偵物語/すこしだけやさしく」、5位、佳山明生さん「氷雨」でした。薬師丸さんの「探偵物語」がかろうじて入っていますが、こういう曲がシングルチャートの上のほうにドーンといたんですね。シングルはこういう曲、アルバムはJ-POPという流れがはっきりあった。そういうチャートの中で検討したのがこの曲です。発売は82年10月なんですけど、83年になってヒットして、年間チャートは26位。「君に胸キュン」より上でした。サウス・トゥ・サウスが76年に解散して、上田正樹さんがソロになってからの最大の成功ですね。上田さんも「郡山ワンステップフェスティバル」の姿とは明らかに違う、ダンディになってこの歌を歌っておりました。みんな大人になりました。83年の年間チャート26位。上田正樹さん「悲しい色やね」でした。

竹内まりや / 静かな伝説(レジェンド)

流れているのはこの番組のテーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説(レジェンド)」です。またしても私ごとで恐縮なんですが、82年に忘れられないシーンがありまして。2月に五輪真弓さんが香港で野外ライブをやったんです。競馬場で。まだ、シンガーソングライターという言葉が香港にはなかった時代ですね。「自作自演の歌姫」という形で彼女が紹介された。僕らは70年代にアメリカから日本に吹いてきた洋楽の風でシンガーソングライターという言葉を知ったんですけど、香港の人たちはアメリカから来たいろんな音楽の風を日本を経由して知った。香港はその後、日本を追い抜いて、はるかにハイテクで先進的な街になりました。今年はいろいろなことがあったけれど、最後は選挙で学生さんや市民や人々が胸をなでおろした。やっぱり民主主義というのはこうあるべきだよというのを改めて香港に教わった、そんな年末でもあります。香港に幸あれ。

80年代は自由の風に吹かれた、そんな10年間だったと思います。「80年代ノート」は、このときこんな曲がヒットしましたってだけではなく、こういう人たちがこんなふうに生きていいましたと伝える番組でもあるわけで、今週ご紹介した尾崎さんも、BOØWYもサザンもユーミンも、これから先、いろいろな形で出てきます。あなたと私の忘年会。来週も楽しませていただけたらと。お前が1番楽しんでいるだろうと? そんな時間でもありますが(笑)。



<INFORMATION>

田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp

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