U2奇跡の来日公演 『ヨシュア・トゥリー』完全再現で炸裂した4人だけのマジック

U2、12月4日にさいたまスーパーアリーナにて(Photo by Yuki Kuroyanagi)



そして第三部は、この日予告していたサプライズの種明かしから始まる。デジタルラジオ局、シリウスXMにおいて、U2のチャンネル「U2 X RADIO」がスタート。ライヴ音源やインタビューなどをここで独占的に放送していくそうだ。発表に続いて、「エレヴェイション」から後半がド派手にスタート。分割画面に4人が均等に並ぶ様子を見て、彼らがデビュー以来対等な関係を維持してきた珍しいバンドであることを思い出さずにはいられなかった。


Photo by Ross Stewart

ここからは、今を生きるバンドとしてのU2をたっぷりと。テンポを上げすぎず重厚に押してくる「ヴァーティゴ」では、ボノがローリング・ストーンズ「イッツ・オンリー・ロックンロール」を口ずさむ。調子に乗ったボノはジョーン・ジェットの「アイ・ラヴ・ロックンロール」まで歌い出すが、客の反応が意外と薄めで、「ジョーン・ジェット、何か問題でもあるかい? ランナウェイズは最高のパンク・バンドだ!」と強引にまとめる微笑ましい場面もあった。

エッジがリッケンバッカーを豪快にかき鳴らす「リアル・シング」でフロアを揺らした後は、ステージ上にエッジとボノだけが残り、エッジが弾くキーボードのみの伴奏で「エヴリ・ブレイキング・ウェイヴ」をしみじみと。そしてU2にとって2000年代最大のアンセム「ビューティフル・デイ」、前述した「ウルトラヴァイオレット」へと繋ぎ、「ラヴ・イズ・ビガー・ザン・エニシング・イン・イッツ・ウェイ」を経て「ワン」へと到達する肯定的な流れは、さらにそこから冒頭の「サンデイ・ブラッディ・サンデイ」で歌われた“we can be as one”へと戻り、ひとつの大きな円を描いているようにも思えた。

第三部で展開されたのは、『魂の叫び』の後でアメリカから一旦離れ、まったく別の道へと歩み出してから現在までのキャリアを凝縮したセットだった。このツアーで『ヨシュア・トゥリー』で経験した創意工夫の日々に再度向き合った影響は、今後の作品にも何かしら出てくるはず。変に渋くなり過ぎず、巧くもなり過ぎず、手クセの世界に埋没することなくフレッシュな表現を心がけてきた4人ならではのマジックは、まだまだ消えそうにない。


Photo by Ross Stewart


Photo by Ross Stewart



〈セットリスト(12月4日)〉

1.Sunday Bloody Sunday
2.I Will Follow
3.New Year’s Day
4.Bad
5.Pride (In the Name of Love)
6.Where the Streets Have No Name
7.I Still Haven’t Found What I’m Looking For
8.With or Without You
9.Bullet the Blue Sky
10.Running to Stand Still
11.Red Hill Mining Town
12.In God’s Country
13.Trip Through Your Wires
14.One Tree Hill
15.Exit
16.Mothers of the Disappeared
17.Angel of Harlem

アンコール

18.Elevation
19.Vertigo
20.Even Better Than the Real Thing
21.Every Breaking Wave
22.Beautiful Day
23.Ultra Violet (Light My Way)
24.Love is Bigger Than Anything in its Way
25.One

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