インターネット視点でのクラブカルチャーをNight Tempo、DJ hype、DJ hasが語る

韓国内でのサブスクの影響

has:最近、音楽の聴かれ方がサブスク中心になってきています。韓国ではもっと前からそうだったと思うんですけど、そのへんの影響とかありますか。

Night Tempo:こういう話はつらいんですけど、韓国はもともとからストリーミングが多かったんです。10年前、もっと前の僕が中学生の頃からかな。アメリカにNapstarというプログラムがあって、韓国ではそのあとSoribadaっていうアプリケーションが出てきて、それでみんな音楽を共有するようになって。そのときにモーニング娘。も一時期流行ったんです。「恋愛レボリューション21」のMVを撮影してUCC(User Created Contents)を獲得して、あれもストリーミングみたいに広まったんですけど、すごく怒られて。当時はそういうのが多かったけど、去年夏から話題になっているのは、再生数を買って上にあげるみたいなことをみんながやっていて。ライトな一般層の方は上位にあるものから聴くから、お金で順位を買って聴かせるみたいな悲しい話があるんです。

日本とアメリカではSpotifyとかApple Musicのように、ストリーミングサービスがクリエイターの立場に立って、クリエイターが頑張れるよう支援してくれるものが多くなっている。リリースの方法もたくさんできたのも大きいですよね。前は会社に入って音源をたくさん出すけど、反応がなくて来世でがんばろうみたいな(笑)。いまは自由にリリースできるから、クリエイティブ的にいろんなものを出しても反応がきたり、けっこう音楽ジャンルが広がったと思う。世界の音楽シーンも一般の人が聴いているものも変わった。限られた音楽ジャンルもストリーミングにあるのを聴いて、もっとたくさんの音楽ジャンルが広まればいいと思います。

has:DJの視点からいうと、現場でお客さんの反応を見て、すぐにフィードバックして次の制作に活かせるっていうのがありますよね。

hype:あとSNSを観ていて思うのが、Twitterでこの曲がいいってSpotifyとかのリンクを貼って投稿したりするじゃないですか。それによって、前に比べてお客さんが好きなものがわかりやすくなった気がします。あとはストリーミングで膨大な楽曲を聴けるので、お客さんが音楽を掘り出した感じがすごくあります。僕もDJなんで、お客さん以上に知っていないといけないんですけど、お客さんがポストしたりしている曲で、最近知らないことありますもん。だから詳しい人はどんどん詳しくなっていく。情報の撮り方が変わってきている。

has:10年前と比べたらスピードも速いですしね。僕はアンダーグラウンドといわれる現場でイベントを主催することが多いんですけど、そういう現場だとお客さんが来ないと話にならないわけで、100人くらいはきてもらわないとさすがに成り立たないから、自分の感覚を信じて呼ぶことも多いんですけど、お客さんがどういう音楽を聴いているのか、探しやすいのはありがたいなって。格好いい音楽を聴いているお客さんが何人かいて、その人が聴いている音楽を掘り下げていって反応がよさそうだったらみたいなやり方もできるので、主催者側としてはいいことかな。最後に、現代とこれからの活動についてお話を伺いたいなと。

Night Tempo:これから今よりも、もっとたくさんの活動のやり方ができるようになると思います。なので、古いものだけじゃなく、どうやって新しい方法で出すか、たくさんの人に聴かせるかを研究したい。僕はプログラマーでもあるので3Dプログラミングをやって松田聖子さんを召喚するみたいな(笑)。いろんな方法にトライしたい。ただ家で音楽を作って発信するだけじゃなくて、アートと一緒に盛り上げていきたい。曲もいっぱい作っていきたいです。

hype:20歳すぎくらいのアーティストは、SNSの使い方がうまい人がいっぱいいるなと思って。動画の上げ方とか、プロモーションの仕方もうまい。若い人が自由な発想で展開していくことで、普段クラブに来ない人たちを巻き込んでいってくれるんじゃないかと思うし、僕もそれについていきたいと思っています。

has:ここ最近、昔はDJとバンドとシンガーは分かれていたんですけど、また一緒になる機会が僕の肌感覚ではあるんです。だから、クラブだけじゃなくて、バンドシーンとクラブシーンが融合していったり、音楽を聴くシーンが体感として広がっていくんじゃないかなと思います。カフェだとかバーとか、もっともっとそういう未来が待っているんじゃないかなと思います。

Night Tempo:そうだ! 4D映画館でもやりたいですね(笑)。

Edited by StoryWriter



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